シシリー、ヴァージンエクストラで全身洗浄、12時25分。
本日は、「マフィアの日」。
何で?
放置してもよかったが、マフィアばりに血の掟で生きている自分としては見過ごせないと、近所の耐震偽造されたまま気付かれていないマンション受付で、常時暇そうにしているデ・ニーロ似の守衛に訊いてみる。
デ・ニーロに似てるってだけで。
以下はそのまとめ。
1282年、当時シチリア人はフランス国王の叔父、シャルル・ダンジューの圧政に苦しめられていた。
復活祭翌日の月曜であるこの日、「晩祷」するシチリア市民が教会に集まる中、フランス人兵団が訪れ、土地の女性をあれこれしようと連れて行こうとした為、女性の夫が妻を守ろうと兵士を刺殺。
フランス人兵士の日頃の蛮行に業を煮やしていた他のシチリア人全員で、フランス兵団を襲い全滅させてしまう。
逃げ惑う残党を教会の端に追い詰め、最後のひとりを亡き者にした瞬間、晩祷を告げる晩鐘が鳴り響いたことから、「シチリア晩鐘事件」と呼ばれる。
動乱は全島に拡大し、フランス人は続々にサーチ・アンド・デストロイされ、死者は4000人以上に及んだという。
シチリア人のキャッチフレーズ、
゛Morte alla Francia Italia anela゛ (全てのフランス人に死を、これはイタリアの叫び)
の各単語を頭文字だけ並べ、゛MaFIa゛の由来とする説がある。
ほんとですかー?
「信じるも信じないもお前次第だ」
その髪型って役作りで抜いてるんですよね?
「俺がマフィアだったら皆殺しだよ」
よかったー、ただの冴えない守衛で。
旅順、乃木っちあれなんで兒玉ちゃんよろしく、12時12分。
白菜についての文献を読む機会を与えられたとしよう。
いったい誰が昼休み時間に白菜について真剣に学ぼうというのだろうか。
うっかり文庫本を持参しなかった不備を呪いながら、止む無く読んでいると理解して頂きたい。
英語ではチャイニーズ・キャベツと呼ばれるように、原産地は中国。
日本へ伝わったのは意外にも明治、しかも日清・日露戦争時という。
遠征中の兵士が現地で食した、しゃきしゃき感あふれるこの白き野菜の種子を祖国に持ち帰ったことから悲劇は始まる。
いえ、始まりません。
ごめんなさい。
戦争はある意味悲劇ですが、そういう主旨では話せません。
気になるのは文中、
「白菜の入ったおいしい鍋をつつけるのも、その兵隊さんたちのおかげかもしれんのう」
とやや右寄りな発言。
続くサブタイトルは、「浮気性」。
実は白菜、アブラナ科植物として黄色い花を咲かせるのだが、同科であるカブやコマツナとの配合も容易に可能であるという尻軽っぷりで異なる色の花も咲かす。
ただ、カブやコマツナと交わると葉が出荷用に美しく丸まらない為、農家では白菜畑を周囲から孤立させ、群がるアブラナ科どもの花粉から隔離する。
僅か百数十年前に大陸から海を渡り、現在では異物を排して純粋培養で育てられる白菜。
大人の事情ってやつですよ。
ベラルーシ、亡命後に故郷が亡国、21時45分。
本日は、「マルク・シャガール没(享年97歳)」の日。
1985年というとかなり最近の画家という感想。
絵画そのものよりも、「あなたがわたしにくれたもの」として名を馳せる。
柴又、帝釈天に取り憑いて離れない猫32匹、12時14分。
本日は、「フジテレビ系ドラマ【男はつらいよ】放映終了」の日。
当初、寅次郎は死ぬ予定だったが、最終回予告で事実を知った番組のファンによって始まった助命嘆願運動が功を奏し、行方不明として扱われる。
結果、周知の通り映画で復活。
渥美清が鬼籍に入ったことにより、シリーズは終焉を迎えることになる。
桜よ、妹よ。
桜ヶ丘町、いきり立つ民衆を指で抑える、13時26分。
「いつまでも親の脛かじってんじゃないよ」
はあ。
「いくつになったんだい?」
えー、まあ、いい年ですよ。
「そういうこと言ってると、毛抜くよ」
いえ、すんません。気を付けます。
「たまには帰ってやりなよ」
あ、はい。近いうちに。
「適当なこと言ってると、ほんとに毛抜くよ」
いや、ほんとすんません。毛だけはかんべんしてください。
辻説教か。
神宮前、有名企業の内定を蹴ってまで神秘体験を望む、12時52分。
うっかりしていたが、晴れている。
日頃放置気味である埃で塗装された足漕ぎ式二輪車に跨り、種々雑多な生物を踏み潰しながら目的地を目指す。
無事に目的を果たし、すれ違った気の弱そうな郵便配達員の足を払い、倒れたところにマウントポジションを取って、昨日のランチは何だったかと軽く締め上げる。
「え、あ、あの、てんぷ」
なんとなく想像がついたので、終いまで聴かずに素早く走り去る。
郵便局員が思い描いた最後のイメージ
オレンジ色の看板が目に付いたので、とりあえず入店。
スタンダードな品を頼むと、薄手の布を纏った女子から辛さのレベルを尋ねられる。
メニューには、辛さについての解説が記載されており、常人の限界がおよそ「30」と設定し、うっかりな客に警告を放つ。
30かなと言いかけて、今一度注意書きに目を通すと、「神との遭遇率が高い」との旨注釈が付いている様子。
・・・。
神が自分以外にいるわけがないので、7ぐらいにしておく。
中ジョッキがあわや2杯目かというタイミングで出てくる「7ぐらい」。
ん?
あ、神降臨かも。
日本橋蛎殻町、「斥候に向いてる」と持ち上げられ最前線であっさりと、12時24分。
クライアントと打ち合わせ。
昼時の来社というシチュエーションに気遣ってか、挨拶もそこそこに持参した雑誌を読み始めているクライアント。
始業を告げるチャイムが鳴り、職場は再び組織としての機能を取り戻す。
新規案件の次期展開における詳細なる説明を受け、リスクは未知数との発言にやや緊張感が走る。
クライアントを見送った後、デスクに戻ると、通常時とは異なるPC画面に気付く。
件のクライアントが先程までプレゼン用に使用していたデスクトップPCが、アプリケーションを起動したままであることを認め、クローズしようとキーボードに手を伸ばす。
別タスクとして、インターネットブラウザが開かれており、更にサイト閲覧の履歴を見つけてしまう。
「お詫びとお願い」という表題に始まり、関連会社におけるリコール、クレーム対応等を想像したが、続く文面に自らフリーズする。
3月19日(日)の午前11時30分からテレビ東京系などで放送した「ハロー!モーニング。」内の、科学実験コーナーで、避けるべき渦巻き模様の映像があり、日本民間放送連盟が定めたガイドラインに抵触するものでした。
この番組を録画された方で、光感受性反応を起こしやすい幼児の方々等が視聴さ れるとまれにめまいがしたり、具合が悪くなったりする恐れがありますので、視聴をお控えください。
テレビ東京では、このような事態を起こしたことを深くお詫びしますとともに、今後、番組製作において、より厳しくチェックをしてまいります。
次回予告 [2006 3.26] ● 春だ!旅行だ!日本一周駅弁娘。
いやあ、駅弁娘はどうかと。
↑
そっちじゃないってば(囁き声で)。
川口、三三五五と生えている、13時59分。
本日の誕生花は、「碇草」。
花言葉は、「あなたを放さない」。
錨形の花姿からその名が付いたらしく、地上部は強壮薬としても知られ、「淫羊かく」とも呼ばれている。
「かく」とは、豆の葉を表すそうだが、このネーミングは四川省西部、西川(せいせん)北部に棲息する「淫羊」が食んでいる「かく」の効果で、1日に100回交合するとされた所以である。
代表的な薬効は、「陰痿(陰萎)」って、読めん。
まあ、字面通りにそれっぽい効果があるという。
数年前に川口市で発見されたというイカリソウの画像を発見したが、掲載にはあまりにも不適切と判断し、自粛。
理由は・・・、間違った育ち方をしてしまった冬虫夏草をイメージして頂きたい。
更に調べると、イカリソウの育て方を懇切丁寧に記載したサイトにたどり着き、サイトの方針だろうか絶滅種に対する危惧をわりと吹っ切れた文章で表現している。
絶滅防止のために
保護団体などを名乗るグループやこのメンバーこそが、絶滅に追いやる悪質極まる盗採取マニア、盗採取商売人、乱獲愚連隊。もっともらしく保護、保全等を誇示したり、名乗ったり、専門的術語で言い尽くめたり、脅迫めいた言動などを発し、吐いたりしながら行動することもあって騙され、山野を徘徊、探索しては、盗採取して行く曲者連中。注意を怠りなく。
・・・。
凄いセンスの言葉選び、途中から首を捻りたくなるような文体から、業界の奥深さを知る。
あなたを放さない。
桜台、世間的には悪役・敵役、18時48分。
本日は、「柳生一族、家光に剣法を伝授」の日。
1621年・・・だそうだ。
何これ、コメントできん。
「一族」って括りが腹立たしく思えてならない。
おそらくは、柳生宗厳(石舟斎)の五男、宗矩を指していると推測する。(※)
記録では、1601年より二代将軍・徳川秀忠に剣術師範役として、継いで三代・家光にも仕えているし、宗矩の出生は1571年であるから、年齢的にも問題は無いと思う・・・。
思うが、参考にしているサイトが信じられなくなる瞬間でもある。
ネット社会に潜む罠かもしれない。
※ やぎゅう・むねのり。ちなみに、長男は隻眼セレブの三厳こと十兵衛。
シュムシュ島、強制的に排除させられる(涙)、13時43分。
本日は、「千島列島調査、本格的に」の日。
1893年のこの日より「本格的に」調査が始まったと定めた歴史的な日。
1854年、「日露和親条約」締結により、南千島を日本領として確定。
1875年、「樺太・千島交換条約」締結により、樺太と北千島とを交換し、全千島列島を日本領とする。
それから、18年を経て始まる本格的調査。
じゃあさ、今まで何だったのよ。
やっつけ? (※)
※ 政治的事情はこの際知りません。
北京郊外、もう少しもう少しと気ばかり焦る、21時45分。
本日は、「明、滅亡」の日。
1644年、清によって滅ぼされた明国の民を憂う、滅亡記念日。
1449年、時の皇帝・英宗は側近である宦官・王振の進言により、西モンゴルの雄オイラトを征伐すべく、皇帝御自ら兵を率い遠征を行ったが、皇帝自身があっさり捕虜となり敗退。
一連の事件を、王振と明兵らが逃げ込んだ砦にちなんで、「土木の変」という。
この砦がまたダメダメで、土木とは名ばかりで設備が拙く、篭城する上で必要不可欠である筈の水回りが欠落しているという、致命的なロケーションだったという。
皇帝の右腕的存在である宦官って、賢くないと務まらないと思いきや、上記のケースを見る限り、かなり使えないことこの上ない。
ぼんくら皇帝が、股の間に何も挟まってない男ひとりに振り回されているという絵ヅラが何とも滑稽である。
いつの時代も同じということか、と。
余談。
モンゴル人エセンは、捕虜とした英宗を厚遇し、互いに「友」と呼び合うまでになったというが、それはただのストックホルム症候群ですがな。
日光、大御所の御心如何許り、13時59分。
「先輩、気分悪いすか?」 「・・・」 「ん? 何か言った?」
彼らの中で会話は成立しない。
現代を象徴するコミュニケーション不全。
とはいえ、夜毎酒席で交わされる発言にも酷似する。
中途半端な態度で臨まれたし。
湘南、風にあおられたサーフボードが顔面を直撃、17時54分。
「リーダー、何処行くんすか?」
「うん、そうね」
「答えになってないっすよ、それ」
「いや、まあね」
「闇雲に飛ぶのやめましょうって言いましたよね?」
「ん、うん」
「もうー、煮え切らないっすねー」
「南下してみる?」
「思い付きで言わないでくださいよ」
だって、習性なんだもん。
イスラマバード、こってり風味のハラルミート、8時13分。
卓上にある胡椒をうどんにかけまくって、一瓶使い切ろうと固く決意し入店。
テーブルに突っ伏して寝ているコート姿の男が目に付く。
徹夜明けで疲れた身体を休めているのか、社会的に駄目なのかは不明。
男、不意に立ち上がりレジへと向かい歩き出す。
精算時、レジ前に立つ顔が一瞬視界に入り、よく見るとムハンマドな中東系。
従業員よりミニ牛丼のサービス券を受け取ったはいいが、その場で使おうとして、「次回からのご使用になります」とやんわり指導されているが、「ジカイ?」と不穏なリアクション。
日本語一点張りの説明で理解されたのか、男は不服そうに去ってゆく。
ドアが開くと、再びムハンマド。
一度店を出て、再び来店し、「次回」を演出する中東系の男、オーダーは勿論「ミニ牛丼」。
再び同じ席に座る。
そして、寝る。
いや、もしかしたら寝ているのではなく、祈りを捧げてるのかもだ。
豚丼じゃなくてよかったっす、先輩。
エンドア、くまくましてるって言われ複雑な気分に、12時08分。
「妙齢の女性が煮詰まると、スポーツ(ヨガ、スキューバダイビング、ダンス)や習い事(料理、着物、茶道、楽器)を今更ながらに始める」という定説がある。
「黙れ」
何ですか、いきなり。
「あ、ごめんごめん、君にじゃないの」
もっとまずいですよ、それ。
「いやね、いろいろと大変なのよ」
大変なのは分かりますが、声に出すのはどうかと。
「聴いてよー」
はあ。
「早起きしてお弁当を作ったわけ」
そのわりにはいつもコンビニめしじゃないすか。
「自分の為に作ってないってば」
それ、意味無くないですか?
「だって、自分で作るとまずいんだもん」
人にはいいんですか。
「まあこういうのは気持ちだから」
そういうのは良くないですよ。
「何? 全否定?」
いや、押し付けではないかと。
「とにかくさー、せっかく作ったのにさー」
全残しですか。
「ううん、翌日おいしいのが入ってた」
あんた、向いてねえよ。
ノルマンディー、赤い花咲く沿岸部、10時47分。
白い日?
日頃から懇意にしている婦女子に対して、犬の死を犠牲にしてまで引き抜いたマンドラゴラ、棘の生えた巨大植物の茎や、最終的に敵として現れたら厭だなと思う水兵姿のモンスターを投げつける日だったろうか。
3世紀、ローマ兵士の結婚年齢を制限していた当時の皇帝クラウディウス2世の命に背き、彼らの挙式を奨励していたが為に、クリスチャンとして殉じたヴァレンティノことヴァレンタイン司教の処刑からひと月後、彼の斡旋で夫婦となった男女はこの日、改めて永遠の愛を誓い合ったという。
本エピソードは、ヨーロッパから世界に広く伝播し、各業界の戦略が見え隠れするかのように、「花の日」「クッキーの日」「マシュマロの日」と呼ばれ、何故か「ポピーデー(芥子の日)」とされたりもしていた。
一般的にいう「ポピーデー」とは、正式には「戦没者追悼記念日」と称し、11月11日に最も近い日曜日を指す。
1918年11月11日は、第一次世界大戦の停戦日。
ポピーとは、丘の上ひなげしの花。
大戦時の激戦地、フランドルに拡がる麦畑に咲いていたポピーは、二度の世界大戦に斃れた戦没兵士を象徴するという。
「なるほどねー」
ひなげしって赤いんだねえ。
「アグネス・チャンに敬礼!」
いや、意味分かんないから。
日本では、全国飴菓子工業協同組合なる団体が、「キャンディー販売促進を目的に」と恥も外聞も無く公表した挙句、「キャンデーの日」と定めるという姑息な意見もあったが、同団体における関東部会の一存により、「純潔の象徴」として「ホワイトデー」と呼称するに至ったという。
「キャンディーデーでもよかったじゃんか」
他の商品が売れなくなるな。
「ホワイトチョコの日だと思ってる人はたくさんいると思うよ」
たぶんね。しかし、業界の都合で「純潔」ってどの口で言ってのかと。
「どうせ裸エプロンのくせに!」
まあまあ、って何か間違ってるな、それ。
ザンビア、昆布か鰹かとダシごときで掴み合いの喧嘩、13時04分。
昼も真っ只中にも関わらず、客は一組のみ。
応対する女性従業員、動きが学級崩壊のきっかけになる児童の如き立ち振る舞い。
まだ13時を過ぎたばかりだというのに、
「もうどうせ誰も来ないから広いテーブル使っちゃって!」と六人掛けの席を勧め、先客が帰ると、ブラインドを下ろしながら、
「ただいまから貸切でえす!」と裏声に近い発声で威嚇され、会計時には伝票と一緒に何か丸いものを置きながら、
「抹茶レモン!」と、凄い組み合わせの飴を手渡しで寄越し、かなり満足げだ。
賄い食の時間なのだろうか、店主らしき老人は、自前の蕎麦を食べ損じてかなり激しく咳き込んでおり、客前でそれだけでもどうかと思うのに、彼を指差しながらケタケタと笑う前出の女性従業員。
女性店員は店主の娘だとは思うが、あんまりな光景に父親の苦労を思う。
結論:年齢を重ねた不思議ちゃんに需要は無い。
元住吉、酉の市で熊手狩り、13時30分。
(写真と本文は関係ありません)
さほど広くもない店内に流れるBGMは、80年代J-POP。
いや、当時にそんな横文字は存在しない、歌謡曲だ。
やるせなさを全身で表現したような店員が注文を取りに来る。
鶏きしめんを下さい。
「うどんですか?そばですか?」
えーあー、と思考停止する。
オーダー確認時の不条理な問いに対して、やはり「きしめんで」と答えざるを得ない。
何か別の惑星の生物を見るような目付きで、厨房に立ち戻る件の店員。
君の星では麺類に区別は無いのだろうと解釈し、ぬるい茶をすする。
宇田川、オーダー時はいつも闇夜、15時03分。
フランス語を訳してみる。
゛Voleur de Fleur"(ヴォルール・ドゥ・フルール)
「花泥棒」
世間的には「罪が無い」とされているが、立派な犯罪である。
窃盗犯として訴追されても致し方ない。
件の花泥棒は、逃避行の果てに一軒の珈琲専門店へとたどり着く。
フレンチポップが流れる店内、窓際カウンターでは直射日光が眩しく差し込み、壁際奥のテーブルには何故か照明すらなく、フィルム・ノワールの如き薄暗さというコントラスト。
ループ状のカウンターに並ぶひとりの女性に目を奪われる花泥棒。
ミルで挽かれる豆の醸し出す音とアロマに惹かれつつ、女性が持参したと思われる文庫本の表題を横目で眺める。
田中康夫著、『なんとなく、クリスタル』
え? 大丈夫?
ううう・・・(涙)
中京区押小路通、碁盤の目状は返って迷いやすい、12時24分。
用も無く京都に立ち寄った際に発見した定食屋の看板
炭水化物を副食として認知する食文化があると聞く。
日常に潜む狂気といっていい。
無駄に若い中学生にしか需要がないと信じている。
ただでさえ持て余し気味のエネルギーを、炭水化物として過剰摂取するという行為は認めよう。
がしかし、大人は別だ。
大人としての分別で、件の組み合わせは否定しなければならない。
目覚めよ、京都市民、いや関西圏の人々!
その組み合わせは全国区ではないのだ!
古座、あの日確かに忘れていった、10時23分。
あ、誰だっけ?
あれ、えーと、えー、全然思い出せない。
ほら、あれ、えーと、本田美奈子?
いやいやいや、違うか。
グラビア? 海で、波が、ざざーんて。
水着か? ビキニか? 白か?
・・・貝殻、・・・あっ、武田久美子だ!
Oh, Kumiko! Nice to meet you!
水海道、氷原で岩盤浴、19時57分。
転職すっかなー。
もぐもぐ
だけど、コンビニはちょっとなー。
もぐもぐ
今、店長だしなー。
もぐもぐ
バイトにしてもらおうかなー。
もぐもぐ
無理かー。
京城、安寧かどうかを訊かれる、12時24分。
うわあ、めっちゃ揺れてる。
運ばれてる? 何処に?
なんか首がきゅーってされてるみたい。
顔がきもち小さくなった気もする。
痛いよう、脚が体育座りどころの騒ぎじゃない!
開けてくれ!
長者町、コガネムシの裕福っぷりを疑う、15時42分。
実は、とカミングアウトするが、猫アレルギーだ。
とはいえ、彼らには微塵の罪も無い。
そればかりか、狂おしくも愛しい猫ニャーには手も触れられないという現実を受け入れられない。
かつて猫が出入りしたであろう部屋は、既に複数の猫要素で満たされており、致死量に達する猫毛が潜んでいると考える。
毛嫌いという表現を用い、毛だけが自分を追い詰めるのだろうと、毛を憎む。
症状として、蕁麻疹、呼吸困難を始め、持病である喘息を併発しつつ、重度の花粉症にも似たダメージを負う。
人として何が欠落しているのだろうかと、調べてみる。
結論:「考えるな」
終了。
忘れた、忘れたー。
猫まっしぐらー。
げほごほ、ごぶごぼ
マリ、いつもの店でひとり誕生会、23時59分。
「横山先輩ってさー、人間離れしてない?」
「あーあー、思うそれ。何か人を超えててるっていうかさー」
「たまに目とか光ってるし」
「まじで? この間はお洒落居酒屋に置いてあるロウソク食べようとしてさ、『あちぃ』とか言ってたよ。何か可愛いかったけど」
「綺麗なおねえさんなんだけどねー」
「妖怪に近いのよねー」
ニセコ、漆黒の闇に浮かぶアフリカ代表選手、20時34分。
「あれ? ンデュールは?」
「見えるわけないじゃん、こんな暗いのに」
「まさかの全裸スノーボード!」
「しかし、寒くないのかね」
「彼、大陸育ちで根性違うから」
※文中、不適切な表現があることを予め断っておきます。
ベルリン、Selbstgespräch(ひとりごと)に酔いしれる、21時34分。
前方からかなりの勢いで飛び跳ねてくるコートの男。
夜の公園というシチュエーションも手伝って、軽く戦慄する。
嗚呼、そのコースだともうすぐ鉢合わせだよ。
「イッヒ・シュタルハウゼン!」
え? ドイツ語? メガネのくせに(差別)。
iPodを聴いてるようには見えなかったが、脳内で流れるジャーマンテクノが佳境に入っていたのだろうか。
驚くべきことにこのゲルマンメガネは、日没とともに現れ、必ずすれ違いざまにドイツ語ワンセンテンスを投げかけてゆく。
内容が全く不明なので罵声を浴びせられているのか、口説かれているのかが分からない。
がしかし、ドイツ語を習う動機にはならんな。
相模大野、磨き上げられた駅構内、17時00分。
「すみませんが」と女、いろいろと不自由な人生に薄幸という二文字を重ねた顔付き。
両手を胸の前で組み懇願する女は、「お願いがあるんですけど」と言う。
遠く自宅を離れ、一秒でも早くこの地を去りたいのだが、人として一応話を聴いてみる。
「今から駅前のバス停のところまで行ってもらってですね、そこにいるxxxxタクヤさんって人を…」
急いで時計を見る振りを装い、「ああーっと、ごめんなさい。人を待たせているんで」と逃げるように立ち去る。
興味深い展開ではあったが、ここが派遣先の最寄駅であるということと、着慣れないスーツでは機敏な動きができないと判断し、足早に立ち去ることにした。
この場合、薄幸女がストーカーだろうか。
「タクヤを」より後は聴かなかったが、「タクヤに」と続けば「伝言を」とか「何かを渡す」になるのだが。
タクヤを呼んできて欲しいのだろうか。
何故女自身が呼びに行かないのだろう。
タクヤと薄幸女と逢っているのが、両者に取って問題があるのだろうか。
仮に、タクヤが尾行されていたとして、自分が彼を連れてきたとしても結果は同じであろうに。
事態は混迷を極めるばかりだ。
どうでもいいけど。
池袋、パリと見せかけて実は平壌、15時56分。
どの書店を探しても見つからない江戸木純著、『地獄のシネバトル』を不発に終わると知りながら検索してもらう。
「かしこまりました。検索後お呼び出し致しますので、少々お待ち頂けますでしょうか」
数分後。
「お待たせいたしましたー、『地獄』でお待ちのお客様ぁー」
えええー、略すな!
「申し訳ございません。ただ今在庫切れとなっております」
こんなにも辱めといてそんな結果か。
微妙な表題の書籍検索は、人として失うものが多い。