かつてバンドを結成したことがある。
私は楽器に触れると寿命が縮む体質なので、やむなく歌唱担当に。
以下はメンバー構成。
ギター:不良活動に忙しく基本的に練習をしない。
あ、あと、ギターを持っていない。
ベース:行方不明。
あれから15年以上経過したが未だ消息知れず。
ドラム:合唱コンクールでピアノ演奏を披露。楽器は何でもいけるという。
「結婚するから」と脱退表明。あれ? 男17歳って無理じゃん?
キーボード:発起人なので練習不要。でも引きこもり。
「小説書いてる」っていうから見せてもらったら、内容がフランス書院系。
想像通り、メンバーが一度も顔を合わせることもなく解散。
バンド名は完全に失念。
思い出したい気もするが、かなりどうでもいい箱に入っているから、逆さに振っても出てきそうにない。
(了)
以前の職場は地域密着型な商店街の中程にあり、隣接する店舗は豆腐店だったと記憶している。
卯の花をがっつり積んだ軽トラの前で煙草をくわえている店主、仕事着も付けずに通りを眺めている様子。
「おはよう」
おはようございます。あ、その煙草、インドネシアの。
「そう、息子からもらった、土産に」
かなりタールきついですよね。
「うん、口の中が凄いね。くらくらするよ」
一本もらっていいですか。
「いいよ」
って豆腐屋さん、これさー、タールよりも匂いがあれなんで、店がガラム臭で凄いことになってるってば。
客足、遠のく遠のく。
(了)
いわゆるニューヨークカットと呼ばれるパウンド(約450グラム)を、懇意にしている精肉業者から取寄せ、不慣れな手付きで脂や筋を丁寧に取り除く。
白い部位を取り去るとほぼ赤身なので、脂肪分はゼロに等しい。
赤身が見えなくなるくらい裏表に黒胡椒をまぶし、強火でよく熱したグリルパンにて網目が付くまで片面を焼き上げ、分厚い側面を焼いてから中火にして裏面へ返し、岩塩を使用。
逆側面も同様の過程で焼き上げる。
表・側面・裏・逆側面には網目、中身はジューシーなレア状態。
口当たりはやわらか、焼き目に閉じ込められたにくじゅうが流れ出す。
かの如きアメリカーナなブロック肉に遭遇する機会などそうあるはずもなく、オアフで口にした時は1/2パウンドすら完食できずに歯痒い思いもした。
ステヱキなんて数年食べてないなと己の食生活の変節を知る。
にくいらねー。
(了)
8030回、何かしら変わりはあるのでしょうか。
8031回、どうにも変わりはしないのでしょうか。
8032回、何ともならないのでしょうか。
8034回、どうにもならないのでしょうか。
人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け滅せぬもののあるべきか
(C) 幸若
(了)
健康診断シーズン到来。
職場では所属会社の違う同僚らが、飲酒習慣も無いのに肝臓だけ再検査だったり、明らかに黄疸出てそうな顔色なのに健康体と診断されたりと、健康診断そのものに疑念を抱かせる結果となっていて、話題に事欠かない。
不健康という烙印だけで無意味に盛り上がる。
当方、7月に予定されており、前回の受診時では「採血しない」というかなり物足りない、ていうか、尿だけかよという展開から改善され、血もガンガン抜くという。
いや、少しでいい。
「で、中学校の時の担任が言うんですよ、『いいかーお前ら、献血には絶対行くなよ』なんて」
教師としてどうかと思う発言だな。
「ええ、まったく。どこから知った知識か知らないんですけど、『抜いた血は元には戻らん。減るばっかりだから行くな』って言うんですよ」
ひとのカラダってそうだっけ? 献血でしぼんでくひとは見たことないけど。
「まあ、なんか聴いてて貧乏臭い話だなって思いましたよ」
ハーゲンダッツ食べ放題に釣られて献血するのも同罪。
(了)
創業は、明治20年代という。
一子相伝の味とある。
店内にはカウンターに座って新聞紙を拡げる店主、水を運ぶ仕草がかなり心配な老婆が。
定番メニューであるカレー南蛮を頼む。
くわえ煙草を揉み消し、無言で厨房へ向かう店主。
数分後、丼に盛られてもなお煮立つような湯気に包まれた膳が運ばれてくる。
トレイを持つ老婆の動きの緩慢さが妙にスリリング。
障害物は無いか、段差は無いかと我が子を見守るような母親の視線で見守る。
饂飩はこれ以上煮込むと崩れ始めるという極度に胃に優しい一品。
小学校の給食を思い出させる、カレーパウダーと懐かしさ全開のつゆ。
極端に細分化された情報が氾濫する時代、その実必要なのは現場での判断だけだと知る。
(了)
もはや惰性となって観ている『風林火山』。
今回は男闘呼組いちの子だくさん演じる教来石景政(きょうらいしかげまさ)が馬場姓を襲名するエピソードが20秒ほど。
のちに馬場信春と名乗ることになる。
武田勢が今川氏の統治する駿河国への侵攻時、今川コレクションが焼失するのを見るに忍びないとして総大将武田信玄は宝物庫からの撤去を命じたという。
移設部隊の動員を知った馬場は、
「あのー、これってー、略奪とかそういうのに見られちゃってかなりイメージ悪いんでー、無しの方向で」
と燃え盛る今川宝物殿へと運び出したおたからをちぎっては投げちぎっては投げ。
総大将は馬場の言動を聴き、
「さっすが7歳上、考え深いわー」
と自らの行動の浅はかさを恥じたという。
まああれですな、部下とはいえ年上の意見を尊重しろ、とそういうことですな。
(了)
朝方帰宅して、仮眠程度にと横になる。
起きる。暑い。
外出する用も無いので、終日インドアに過ごす。
じゃがいも、アンチョビとバターを加熱した、ぶさいくで異臭騒ぎな品でビールを2缶開ける。
すぐに眠くなる。
読み終えたいはずの文庫本を握り締めたまま燃え尽きるのは遠慮したいので、何の役にも立たない知識を詰め込んでみる。
【ゴリラ】 学名:「ゴリラ・ゴリラ」
【ローランド・ゴリラ】 学名:「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ」
何か不愉快。
(了)
11階建てビルの7階より、雨降りの様子でも見ようかと窓際に立つ。
短冊状したブラインドの隙間に指を入れてみる。
雨模様は相変わらずで、傘を差す通行人と持たずに走る人もちらほら。
「あまり窓に近付かない方がいいですよ」
え? 何で? 撃たれる?
「撃たれはしませんけど、近隣住民から苦情がくるんですよ」
上から目線が気になるのかな。
「いえ、『生活を覗かれている』とか言われるみたいですよ、階数と方角まで指定して」
過剰な目黒区民達よ。
今ここにスコープ付きのライフルとかなくてよかったと思う。
(了)
職場のシュレッダーが新しくなる。
旧型は古いオフィスに鎮座するOA機器然とした巨大な裁断マシーンだったが、新型はひとり暮らしの冷蔵庫ばりにミニマムに。
かつての殺伐とした佇まいは一新され、デザインも小洒落た淡い色合いとなり、違和感は隠せない。
「新しいのどうですかね」
みんなわりと使いづらそうにしてるね、中腰になるし。
「ええ、威圧感もなくなりましたね」
うん、以前は何人の血を吸ったんだ的な雰囲気はあったね、ところどころ薄汚れてて。
「実際吸ってましたけどね」
え? まじで? 人間?
「xxxxさんが前にネクタイごと・・・」
え。あっ、だから彼はネクタイしないのか。
「いや、それは極端な暑がりで、ただのクールビズですね」
ネクタイシュレッダーなんて大技は、漫画とコントの国にしか存在しないと思っていた自分の無知さ加減を恥じる。
(了)
サドルの無い放置自転車を目撃する度に、チャリライダーだった頃を思い出す。
当時、心無い何者かによってサドルは奪い去られていた。
ひさびさ買い物にでも行こうかと、自転車整備に余念が無い。
とはいうものの、別の放置自転車を破壊してサドルをくすねて載せ換えたりとかそういうこと。
悪事に手を染め中、向かいの一軒家前には「部品が届いてねえ!」と電話に怒鳴っている、内装業者らしき中年男性が駐輪場の壁に背もたれている。
彼の立ち位置、ポジション的に自転車がかなり出しにくい。
「どうすんだよ、俺いま現場に来てんだよ。はいじゃねえよ、持って来いよ、今すぐ。あ? そうだよ、お前が来るんだよ。今何処にいるんだ、あ? 出先? 出先って何だよ」
話、長くなりそうね。
数十メートル向こうで、携帯電話を持ちながら何かに向かって頭を下げている若い男が見える。
出会わなきゃいけないふたりが出会えないのさー♪
(了)
わりと近所で爆発事故があったという。
渋谷に引っ越したばかりの頃はまだ建設中だったと記憶している。
完成した暁には足を運んでみようかとも思っていたが、実は女性専用で門前払い以前の問題だったわけだが。
どうしたわけか、渋谷駅前では誰とも会わないのに、吹き飛んだ建物の前ではそう遠くない過去に知人らと偶然すれ違っていた。
■円山町にて郷土料理店を営む大将
■幼少期をスリランカで過ごしたという日本国籍の男
■いつの間にかホルモン焼き店の店長にさせられていたスリランカ人
3人の共通点は「色黒」でしかない。
偶然に意味は無いが、何か釈然としない違和感は付きまとう。
(了)
帰りすがら麺でもすすろうかと、それっぽい店の暖簾をくぐる。
厨房から熱気が店内を満たしている様子。
故・中島らもが座長だった劇団の構成員にも似た従業員(中国籍)が応対。
顔の面積が縦と横で割り出せそうなほど正方形に近い。
店の名を冠した品を頼む。
この店、帰宅ルート上に存在するポジションと、営業時間に兼ね合うからと再度来店を一考する。
随分と高見で消極的な理由だが。
「東京生まれか否か」で異様に盛り上がるワンピースの若い女ひとりに男3人と、ひとことも言葉を交わさずに黙々と麺をすすり込むスーツ姿の男4人が対称的。
結論:夏日に空調の壊れた店で熱いスープは飲むな。
(了)
看板をはずしちゃえばいいじゃんとも思うのだが、周囲に対するメッセージでもあるのだろうか。
ここでスナックやってもいずれはこうなるよー的な見せしめ効果。
ユー、はずしちゃいなよ。
(了)
あまりに暑いんで、その辺を歩いていた若造の手からガリガリ君を奪い取り、追ってきた本人を通販で購入した素晴らしい罠で動けなくしてベランダに放置していたら、服だけ残して逃げられた。
ていうか、溶けた?
(了)
「職場の人が辞めちゃってさ」
へえー、こんな時期に。
「そう。で、みんな集めて最後の挨拶があったんだけど、そいつがさ、つらつらと恨みごと言い出すわけ」
うわ、きついすね。
「残る側としては黙って聴いてるしかなくて、全然収拾付かない上に泣き出してさ」
2Gくらいの負荷が全員の肩に。
「もうほんと最悪だったよ。最後に手作りのクッキーなんて配られてもねえ」
え? 手作りの国旗ですか?
「クッキーだよ! 何で最後にそんな右寄りなんだ! あ、でも辞めちゃうからいいのか」
納得するところじゃないと思う。
(了)
駒沢通りからひとつ路地を入ると、不意にカレー臭、いや芳しきカレーの香りに出くわす。
たいへん美味しそうな香りに惹かれもするのだが、職場近辺で喰うまいと店先を素通りすることもしばしば。
通りの向こうから、年の頃なら4歳の女の子と若い母親が歩いてくる。
「あー、カレーの匂いがするー」
「ほんとだー」
「食べたーい!」
「じゃあ、今日の晩ご飯はカレーにしようか」
「うん! わーい、カレーだ、カレーだ、カレーだ!」
字面だけだと微笑ましい親子連れに見えるが、女の子の声が何処でそうなったのか、
上野アメ横の魚売りのおっさんそのものにしか聞こえない。
ハスキーを通り越してダミ声の幼児って。
(了)
パキスタンを猛烈な熱波が襲っているという。
地域によっては気温が50度を超える日が続いている。
「きてるね、パキスタン」
あー、何か57度もあるらしいですね。
「かなり熱い風呂でもそんな温度にならないのに」
我々の想像を遥かに超えてますね。
「思うんだけど、朝の山手線に内山君とか松村とかがぎっしり乗ってたら体感できるかもね」
うわ、でもそれって暑苦しいだけですよ。
「しかも車内の全員が鍋焼きうどん食べてるの」
それは死ぬる。
(了)
山手線外回り車内、同僚と思しき20代後半女2名、職場の後輩らしき男子の名をひとりひとり挙げては辛口評価。
「あの子ってさー、小動物っぽくない?」
「あー、うんうん、何か分かる。生命力弱そう」
「ラビット系?」
「あはははー、超受ける。寂しくて死んじゃうって感じ」
「どーんって押したら、『やめてよう』とか言いそう」
「言いそう、言いそう。『いたあーい』みたいな」
車内に響き渡る心無い笑い声に重なる警笛。
後輩男子の職場環境に同情する。
(了)
「何、事件?」
いや、訓練みたいですよ。
「それにしても、工事現場とかそういう場所以外でヘルメット被ってる姿って人に見られたくないねえ」
えー、そうですかあ。
「何か宗教っぽくない?」
あー、まあ何か分かる気がしますけど。
「特にあれ、白衣着てるとなおさら」
ああ、指差さないで。それに声が大きい。
「お前に何が分かる! うちの近所にはあんなのがいっぱいいたんだよ!」
いっせいにこちらを振り返る避難訓練中の人々。
視線が痛いというのはこのことだったのかと実感する。
(了)
「見るな」
あ、はい、すいません。
「お前さー、食事中じろじろ見られていい気分か? 食が進むか? エンドレスサマーか?」
いえ、最後のはよく分からないですけど、失礼しました。
「俺が何食ってるか分かるか?」
キャ・・・ットフードーかなあ?
「フードーって何だ。よく見ろ、これがあんなぱさぱさしたやつかよ」
あ、似てるけど違う・・・かな。何ですか、それ。
「ドライフルーツだ」
え? 猫ってフルーツ食べて大丈夫なんですか?
「ばかっ、俺だって健康に気遣ってんだ」
でもフルーツって意外とカロリー高いですよ。
「だからドライなんだろ。分からないやつだな、お前」
はあ。
「もういいから。雨降るから傘持って行けよ」
意外と優しい一面も。
(了)
やべぇ、気が付いたら誰もいねえ。
俺、寝てた?
うわ、さっみー、夏じゃねえの、今。
ていうか、ここどこ? 赤坂?
だいたい、人なんか通らんよ、この時間は。
みんな冷てぇよなー、置き去りかよ。
あー、雨降ってきた。
雨つれぇなあ、この仕事。
田舎帰ろうかなー、って嘘、帰る気ナッシング。
また今日も満喫に行くわけですよ。
頑張れ、俺。
(了)
「指宿(いぶすき)」という地名があるのは周知のことだが、先日、「指吸(ゆびすい)」という姓を持つ方がいるのを知った。
さぞ辛い生活を送っていることだろうと、勝手な同情を禁じ得ない。
また、逆に必要以上に優しくされているかもしれない。
実際に身近にいたとして、接し方や距離感を想像してみる。
初めて訪れる地において、見たこともない植物を見つけて「うっわー、やべー」と発見当初は狂喜乱舞するが、やがて飽きてしまいそれが普通と感じるに至るに似ている。
(了)
帰宅後の気絶率が高い。
どれくらいの確率かというと、インド人の食卓にカレーが並ぶ頻度と同率と言っても差し支えない。
ほぼ10割に近いとも思われかねないが、その辺は曖昧に捉えて頂きたい。
さすがにスーツのまま玄関先の床で寝ているとか、そういう新橋でネクタイを額に巻いている係長の帰宅後みたいな展開にはなっていないが、スーツをハンガーに掛けた後ソファーで燃え尽きている。
寝る前の歯磨きさえも済んでいるのだが、朝方目を覚ますとNHKと照明が点けっぱ。
あと、窓も開け放し。
布団までたどり着けない。
何故か。
言わずもがな。
(了)
朝方、インターフォンがなった気がして、気絶していたソファーから飛び起き、玄関先で返事をするも、徒労に終わったことを知る。
時刻は午前5時過ぎ。
扉の向こうには誰もいない。
目覚めない頭で少し考える。
1.ビデオデッキ内のテープがヘッドにセットされる音が聴こえた。
2.点けっ放しのはずの電灯が消えている。
3.固定電話が短く鳴っていた。
結論:
停電があったらしく、復旧後に全ての家電が再起動していた。
ただし、照明器具はリモコン起動なので再通電後は消えている。
固定電話は通電時に音が鳴る仕組み。
つまり、インターフォンは鳴っていない。
機械に踊らされるという素敵ないちにちの始まり、数時間後に鳴る目覚まし時計みたいなスタンドアローンなアナログだけを信じたい。
(了)
【ファム・ファタール Femme Fatale (2002)】
カンヌ映画祭の会場にて総額1千万ドルのダイヤがあしらわれた黄金の蛇ビスチェを身に着けるモデルを誘惑し、予め用意した偽物と順調にすり返るも、何を焦ったか護衛を射殺する男を裏切って逃走する女、偶然教会で居合わせた老女に実の娘と間違えられ追われ、挙句ダイヤを探す男に首絞められてホテルの吹き抜けから突き落とされ、娘の部屋に運び込まれバスタブに湯を張ってくつろいでると本物の娘が帰宅し、やっぱり自分とそっくりな娘は目の前であっさり自殺してしまい、倒れた横にアメリカ行きの航空券とパスポートを発見し、とりあえず新しい身分で渡米しようと偶然隣席に居合わせた男に適当な身の上を話して盛り上がり、果ては結婚し、7年後にパリ在住アメリカ大使夫人となって再びフランスへ帰るも、例のビスチェ強奪の件で裏切った犯罪仲間は執拗に追いかけてきて、公然に姿を現さないとされた大使の妻を追うパパラッチを誘惑し誘拐犯に仕立て上げ、夫である大使から身代金を奪う計画中に、大使と共にパパラッチも射殺して、さて逃げようかと身代金を手にするも、かつての犯罪仲間にセーヌ川に放り投げられる。
で、冒頭のバスタブのシーンへ。
自分とそっくりな娘が拳銃自殺しようと銃口を頭に向けた手を止める女、かつての習慣で奪った銃を娘に突きつける。
「夢を見たの。あなたはこのチケットでアメリカへ行くの。隣の男があなたを幸せにするの」
7年後、前述のモデルは女にスーツケースを渡した後、女の元犯罪仲間に捕らえられるも、偶然走行を誤ったトラックは彼らを交通事故で葬り去り、偶然パパラッチと女はロマンスの始まりみたいな出会い方をして終劇。
って何だこれ。
5年前の作品に対して今更あれこれ言うのもあれなんでこのくらいにして、今日いちにちの行いを反省しようと思う。
(了)
追記:
音楽担当は坂本龍一なのだが、ラヴェル作曲『ボレロ』にしか聴こえない。
(写真は本文と無関係です)
「夜に誰か叫んでると思ったら、向かいのマンションからなんだ」
朝からいきなり重い話題ですね。
「いや、それがさ、あまりにも凄い剣幕で」
女が、ですか?
「そう、ていうか男も怒鳴ってるんだけどカツゼツ悪いのか声の通りがよくないのか、女の声しか聴き取れないの」
事件っぽいっすね。
「事件になったら厭だから、一応内容次第で通報する準備はしてたのね」
市民の義務だし。
「うん、そしたら、女が『だったら貸した金返してよ、今返してよ、すぐ返してよ!』とか言ってるわけ」
ウルフルズだ。男はヒモくんですかね。
「たぶん。で、男が中で話そう的なこと言ってて、その後ドアが閉まる音がして、それっきり静かになったみたい。逆に怖いけどねえ」
ヒモ的解決で仲直りかしら(下世話)。
(了)
またかと思われようとも、それはそれで結構だ。
鉄骨には曇天がよく似合う。
第一に不穏だ。
カラスがぎゃーと啼いているかもしれない。
そして、不遇だ。
人の手が入ろうとも、やがて錆びて朽ちてゆくしかない。
最後に不健康だ。
撮影時間が早朝ではあるが、不眠の果ての時間帯であることを記しておく。
そのままの君でいてー♪
(了)
オタフクソースがリリースするお好みマヨネーズが冷蔵庫にある。
店頭では見かけることのない商品だと思う。
お好み焼きのために開発されたマヨネーズらしく、辛くない程度にマスタードが含まれている様子。
購入時期は失念したが、現在使用しているマヨが残りわずかなので、もう一本買おうとネット通販を検索。
1kg 420円
賞味期限(製造日より)
開封前120日
開封後30日(要冷蔵)
当時1000円くらいで入手した気がする上に、30日で1キロを使い切る自信がまるでない。
騙されついでに賞味期限も忘れてみようか。
(了)
今年で24歳になるという男、いわゆる家庭用アナログ玩具について思いをはせる。
「ツイスターとかやりませんでした?」
ツイスターだあ? あれは大人がやると意味違ってくるぞ。
「罰ゲーム感覚ですよ。テキーラ一気みたいな」
どんなテンションだ。まず広い場所じゃないと駄目でしょ。
「8畳一間じゃ無理がありますかね」
最低14畳は必須。8畳は貧乏臭いし、女子は参加しないな。
「そんなの標準の間取り超えてますよ」
だから、ホテルのスイートを手配してやるわけですよ!
「盛り上がってきましたねー。ていうか、どんだけ金払ってのツイスターですか」
いや、人数さえ集めれば何とかなる。
「わーきゃー言いながら這いつくばった男女を、ワイングラスを揺らしながら眺めるわけですね」
歪んだツイスター像。
何処で話が脱線したのだろう。
(了)