飲食店従業員との闘いに日常を費やしている人は少なくないと考える。
ガチで殴り合うとか、中毒的な症状が表れて訴訟沙汰にするとかという高位レベルではなくて、もっとちっさい器の小さい話。
店に入っても「いらっしゃいませ」を言わないどころか一瞥もしないとか、作り笑いさえ無いとか、オーダーの繰り返しが何を言ってるのか分からないとか、液体系の品の運びが甘くて確実にこぼれて分量が減ってるとか、こぎれいとは呼べない野郎のロン毛とか、釣り銭の渡し方が宙に浮き過ぎてて落としそうではらはらするとか、「ありがとうございました」を言わないどころか他の従業員と談笑が終わらないとか、店の看板が訴訟沙汰とか、枚挙に暇が無い。
まァやる気の無さったら無いわね。
共産圏か!
やりたくないことをやらされてると気付いた瞬間から人に対しての優しさを失うものだ。
(了)
<20100331現在、加筆・訂正中>
本日ァ神保町で御座ィます。
開演まで四十五分ほど時間が空きまして、オイルサーディンのピッツァでドラフトなんてぇ飲ってましたら、気が付けば五分前で御座んす。
駆け足で向かう靖国通りでさァね。
『らくごカフェに火曜会』@神保町らくごカフェ
金原亭馬吉◆紙入れ
馬吉あにさん、馬生師匠の完コピですなァ。
「何にせよ、色気で御座ィます」
サゲ:
「手前の女房を寝る取られるような旦那だ、そこまでは気付くめぇ」
柳亭こみち◆死神
「三之助あにさんの真打披露、よろしくお願い致します」
死神を老婆に変更。
「アジャラカ、モクレン、キューライス、テケ、レッツノ、パァ」
お仲入りで御座ィます。
金原亭馬吉◆崇徳院
「女の子の前座が入って来る度にこれが運命の出会いかな結婚するかなァといつも思うんですけれども、実際はどうにもなりませんね」
サゲ:
「お前を俺のお店にー」
「お前を俺のお店にー」
河岸ィ替えた先で水尾なんてぇ信州のササァいただきまして、山うどと蛸の酢味噌和え、たらの芽の酢醤油を突付きつつ、えいひれ、烏賊丸干し、鰯の味醂干しを炭火が熾る七輪で網焼きにしますな。
程好い加減で引き揚げやしょうかねぇ。
(未完)
何度も云う、これは逃避と呼ばれる行為に相違無い。
一、
嗚呼、左のこめかみが痛い。
偏頭痛だろうか。
がしかし、左脳だけってのも厭んな感じ。
気になって調べると、やがて疼痛が後頭部に移行して、蜘蛛膜下出血に至るとある。
ますます厭んな感じ。
二、
談志著作本に、六本木にある中華料理店の鶏煮込みそばが出てくる。
「旨いけど、1,100円は高い」という。
たびたび話には上っていたが、未食である。
いま喰いてぇ、すぐ食いてぇ。
三、
『ONE PIECE ワンピース』 尾田栄一郎、立ち読み。
シャンクス、登場。
「この戦争を終わらせに来た」って、この大風呂敷が遂にあれですか。
四、
"SILENT HILL -SHATTERED MEMORIES-"
UFOエンドを目指す。
眠い。
また明日ー。
(了)
えェ、お寒ぅ御座んす。
昨日に引き続きまして、外に出る気がしませんな。
鶏肉が喰いてェなんてんで、夜半時分に外へ出まして、さまよい歩きます。
ほどよい処で竜田揚げを見つけまして、売るほど求めて家ィ帰りますな。
唐揚げと見た目が違うのは知ってましたがねぇ、何が違うのかと思い、近所のご隠居に尋ねましたところ、唐揚げは下地に大蒜を用い、片栗粉と小麦粉をまぶして揚げるなんてぇのに対しまして、竜田揚げは肉を醤油と味醂で下味を漬けてから片栗粉のみで揚げるなんてぇ云いますな。
肉に滲み入った下地の醤油が油で揚がるってぇと、紅葉の如き彩りなるってんで、紅葉の名所である竜田川になぞらえたねーみんぐだそうで。
とまァまるで落語みてぇな噺じゃァ御座んせんか。
丁度時間となりまして、お後と交替で御座ィます。
(了)
さむいですね。
でかけるきがしません。
いつまでもぐずぐずとして、うごくけはいもみせません。
いっぽもそとにでずに、3しょくをたべました。
めんめんめんのめんづくしです。
よなか、でんわがなります。
「にくをくおう」といいます。
4しょくめになりますが、まあいいでしょう。
きんじょのみせをよやくしたので、よろっとでかけます。
ごうりゅうします。
きちがいみずをたのみます。
まっかにもえさかるすみびで、いろんな「ぶい」をやきます。
「つぶがい」をかるくやいて、ねっした「おりーぶおいる」でしょくします。
さすがに4しょくめなので、おおくはたべられません。
つぎにいどうしようとかんじょうをすませてそとへでますが、もう29じなのでみせがあいていません。
あきらめきぶんでかいさんです。
いえにかえるまでがえんそくですよ。
いうても、あるいて2ふんでかえりますけどね。ひひひ
(おわり)
<20100331現在、加筆・訂正中>
本日ァ講談で御座んす。
『神田愛山独演会』@神保町らくごカフェ
神田愛山◆天保水滸伝(六) 平手造酒の最期
開口一番、「お湯」と白湯を求める愛山先生。
「六代目小金井芦洲先生、素人演芸大会に飛び入り参加しまして、結果二位でした」
「『民謡にゃァ勝てねぇ』と仰ってましたね」
「何年か前に宝井琴調先生、独演会のスケ(助演)を無料(ただ)で来てくれるって云ってくれたんですけど、条件は『程よい人数、客筋指定、ネットに書き込まない人、太い脚の女の子数人、打ち上げに呼べ』って云うんです。しかも未だ有効ってんですから」
笹川繁蔵vs飯岡助五郎、大利根河原の血闘ってんで、紀州牢人・平手造酒、繁蔵の客分として決闘に加わり落命す。
神田愛山◆投稿マニア
「新聞における読者投稿欄の常連、佐野源次郎」
「少年法について論じる回では作家、選挙法は貿易商、ある時は画家、電車の座席14%は団体役員と、毎回職業が違う」
「実は佐野は結婚詐欺師。自分に正直な人でした」
河岸ィ変えて飲んだくれましょうかねぇ。
(未完)
食生活が乱れてると思う。
何が足りない、よりも過剰な脂と油の摂取に言及できると云える。
もう充分だと思えば残せばよいのだが、生来の設定上、それができない。
満腹感が慢性的に続くのは胃腸によろしくない。
消化機能に問題があるとするならば、食事に愉しみを見出せなくなる。
悩みどころだ。
そこで相談だ。
どうかね?
絶食ぅ?
いやいやいや、人並に空腹感はあるんで、それは耐え難し。
節食ぅ?
少なく喰えと?
まァそういうところから始めてもよいな。
酒も美味しく飲めそうだし。
何にせよ、鯨飲馬食の如き不健康なことを続ける為には、健康を維持しなければならないのだ。
今日も自己矛盾を内包して生きている。
(了)
箇条書きなんてのは、逃げと知っている。
一、
『シグルイ (14)』 山口貴由、読了。
余裕の伊良子清玄、病床の藤木源之助に狒々の頭の黒焼をプレゼント。
めっさ苦そう。
二、
『怪談・奇談』 ラフカディオ・ハーン、読み始め。
小泉八雲先生に根拠の無い親近感を覚えるのは何故かしらと考えていたら、誕生日が同じと知る。
三、
『ぷんちきやっぱー』なる曲が脳内MP3プレイヤーでエンドレスリピート。
元曲は、『Caipirinha カイピリーニャ』という。
ポルトガル語ですな。
四、
『ONE PIECE ワンピース』 尾田栄一郎、立ち読み。
トラファルガー・ロー、登場。
「おれは医者だ!」ってあなた、通称「死の外科医」ですがな。
五、
『らくごカフェに火曜会』、当日券売切れ。
春風亭一之輔が人気?
それとも古今亭菊六?
木戸銭が安いから?
六、
やさぐれて帰る。
青紫蘇のフェデリーニを喰う。
(了)
あさ、めをさますとはればれとしたあおぞらがめにしみます。
さわやかさとはまぎゃくにゆこうと、あぶらまみれないっぴんをゆめみるのです。
おりたたみにまたがり、「せんだがや」にむかいます。
あぶらまみれなみせは、いつのまにやらかいそうをすませており、こぎれいなよそおいです。
あぶらまみれのくせに!
あぶらものをあぶらぎっしゅにせっしゅしていると、だれかによばれたきがしました。
さそわれるままに「はとのもりじんじゃ」をめざします。
じんじゃまえのみせにはいります。
そとのてらすをせんきょして、「おにおんりんぐ」をつまみながらのきちがいみずです。
ひもたかいうちからのきちがいみずは、ごぞうろっぷにしみいるようです。
かめのこうらをかぶったひとたちがたくさんいます。
あのはでなからーりんぐは「なんべいさん」、あのじみないろあいは「こくさん」だろうと、ひひょうかきどりです。
「ひがしなかの」ほうめんをめざします。
せんろぞいのたてものにはいり、あるいっしつに「おとこのその」をみました。
いうても、まんが、でぃーぶいでぃー、げーむ、えぬげーじ、ふぃぎゅあがじゅうじつしているだけです。
じょしせいぶんがかぎりなく「ぜろ」にちかいです。
それじゃあよるは、ほるもんでもくいちらかそうと、「まるやまちょう」あたりのみせにでんわしますが、17のじてんで「21じまでいっぱいです」とことわれました。
ほるもんのくせに!
くやしいので、べつなほるもんやきのみせをよやくしていどうします。
どうちゅうがながくて、けつがわれそうです。
ほるもんやきのみせでは、ひとりをせいざさせて、とくとくとせっきょうたいむです。
たいへんたのしいみせものでした。
でいすいきぶんでかえります。
(おわり)
<20100331現在、加筆・訂正中>
本日ァ、浅草橋へ参ります。
渋谷から銀座線に乗りまして、始発から終点ってんで、些細な油断から座席で熟睡しますな。
終点の浅草で降りますってぇと、大川沿いに南下しまさァね。
西側に社が見えて参ります。
浅草諏訪神社@駒形一丁目
勝利祈願、縁結びの神様なんてぇ云いますな。
何かに勝とうなんてぇ予定も無けりゃァ、縁付きもへちまも無ェってんで、するーします。
圓福殿辧財天@浅草橋一丁目
当社は同名のお湯屋さんの前に御座ィまして、湯屋の看板ともなっておりますなァ。
とりあえずペイイチひっかけようなんてんで、蕎麦屋に入りまして、キチゲェ水を頼むんですがねぇ、意外と時間が無くて、縄も手繰らずに勘定を済ませます。
目指す高座はすぐそこで御座んす。
『第五十二回 鳥越落語会』@浅草橋二丁目・浅草橋区民館4階ホール
春風亭昇吉◆子褒め
柳家喜多八◆やかんなめ
「桂才賀あにさんがトリで『あてぶり』を演ってまして」
「『浪曲子守唄』って演目なんですな」
「子どもを背負うんですが、子役は立川左談次さんなんですよ」
「左談次さん、立川流ですから上野鈴本の高座には上がれませんね」
「まァ粋なもんで、『背負ってるから足が付いてない。高座には上がってない』んですな」
「太田家元九郎と入船亭扇遊が『迎えに来たぜ函館』の余興で出てます」
四代目 宝井琴柳◆魚屋本多
琴柳先生、つるっつるのやかん頭で御座んす。
「まァ演りくいですわね。あたしの出る前にあの噺(やかんなめ)を演りたいだけなんですよ」
「師匠は、六代目小金井芦洲先生と六代目宝井馬琴先生」
「芦洲先生、家が赤羽なのに京浜東北線と東北本線を間違えて米沢まで行っちゃった」
「芦洲先生に『本牧亭行ってきます』って云ってるのに、『修羅場さらってけ』と云われまして、その場で修羅場を演るんですが、先生が寝始めたんで本牧亭に行こうとして止めたら、ぱっと起きて、『お前の講釈じゃァ寝れねぇ』って云われましたね」
柳家喜多八◆短命
「先代の橘家円蔵師匠、小言云う時ァ壁際に追い込むんですよ。『小言じゃァないんだよ、これ。小言じゃァないよ』って小言なんですよね」
「先代の蝶花楼馬楽師匠、税制に詳しい方に付き添われて税務署に行きまして、何を聴かれても『何にも知らない』って云ってればいいからと云われ、『お名前は?』って訊かれて、『何にも知らない、何にも知らない』を連呼」
いつもの黒塀の店ァ開いてねぇってんで、地下の店で葡萄酒なんてぇ空けまさァね。
(未完)
えェ、ご陽気さんで。
洗濯日和なんてんで、洗濯物は勿論のこと、所持する布団、毛布全干しなんてはりきっておりましたら、突風によりまして毛布が一枚、青く澄んだ大空へと一瞬舞い、薄汚れた車道へと落下するのでありました。
下手打ちゃァ落下物として惨事も招きかねないってんで、百均で求めた作りの甘い洗濯ばさみの脆さを知ったわけなんですな。
まァひと通りの家事的なやっつけ仕事を終えまして、向かうは上目黒で御座ィます。
山手通りを南下し、青葉台一丁目の交差点を右に折れまして、丘を越えちょいと下った辺りに目指す場所があるンですがねぇ、丁度時間となりましたなんてぇ茶ァ濁しまして、お後と交代で御座ィます。
(了)
ゆでたまご、と云えばかつての週刊少年ジャンプで長きに渡り執筆していた漫画家ユニットではなく、リアルに何のひねりもなく、茹でた卵だったりする。
1.
まず、卵を鍋に入れた状態で水を張るわけだが、水の適量はどれぐらいなんだろうと調べていると、とあるサイトでの一文、空焚きを憂いている表現が白眉だったので、注意すべき点として転記しておく。
水はもっと減らすことができますが、あまり水を減らし過ぎると、たまごをゆでているのを忘れた場合に、鍋が空だき状態になってしまいます。
空だきにしてしまうと鍋を傷めてしまったり、殻付きの炒り卵という失敗作を作りかねないので、この程度(50ml)が適量のようです。
2.
蓋を用い、中火から弱火で沸騰させる。
強火で急に加熱すると殻が割れてしまうカラ。
3.
半熟と固茹でを作り分けたりするぞ。
◆沸騰3分後に取り出し、流水にて急冷 ⇒ 半熟玉子
◆沸騰5分後に火を止め蓋をしたまま3分間蒸らす ⇒ 固茹で(ハードボイルド)玉子
4.
剥き方もひとつ。
殻に細かいひびを入れ、平らな所で転がしてひびを更に細かくして、流水で剥く。
以上。
あ、これ、賞味期限が2週間前だ。
(了)
衝撃的な夜だった。
とは云え、何も伝えない意図で記しているから、意味不明な文脈になるのは必至ということで、容赦願いたい。
落し物にまつわるエピソードで、天丼が成立し、徐々にエスカレートしてゆく過程で何かが壊れてゆく様を、高度に緻密なモーフィングを見る様に眼前に迫ってくるのは、生涯に幾度も無いだろう。
手づかみから始まり、何度も飛来し落下する物体の質量すらもはや記号でしかなく、直に手にしても実感はわかないばかりか、古代の超文明におけるオーパーツにも似た、現実感が希薄で奇妙な質感さえ感じる。
さようならさようなら、また会う日まで。
扉は常に開かれていると伝え、筆を置く事としよう。
(了)
一、
職場付近のam/pmがファミマになろうとしている。
買収されていたとは後で知った。
何にせよ不便なのは、改装中、毎週月曜が発売日である週刊少年ジャンプが立ち読みできないことだ。
二、
自宅でトマトカレーを作る。
二時間も手間掛ける程の代物ではないが、仕込み時間が長過ぎるのだ。
ピューレまみれのホールトマトと微塵切りにした玉葱を掻き混ぜながら弱火で煮込む為に時間を費やしているからだと思う。
三、
東武東上線にはキxxイが多いという結論。
敢えて例は挙げないが、誰もが体感していると信じている。
四、
ワインは危ないという、よく知られた結論。
眠くなったら解散。
(了)
本日ァ日比谷線沿線で御座んす。
駅前の街道を渡るってぇと、注ぎ酒屋が軒を並べる路地がありまして、一度は入店を断られたんですがねぇ、四半時後なんてんで、階上に席を設けていただきましたな。
まずはとキチゲェ水をいただきまして、品を幾つか頼みます。
「やまとしずく山廃純米酒(秋田)」を一合。
馬刺し(大トロ、フタエゴ、ロース、赤身、こうね)
※どれが何かは失念
「陸奥八仙 特別純米中汲み無濾過生原酒(青森)」を一合。
フタエゴってぇのは、あばら肉の三層部なんてぇ云いまして、バラ肉の外側とも聞きますな。
こうねってぇのは、あぶら、いわゆるたてがみってぇ部位でさァ。
桜鍋(豆腐、白菜、長葱、えのき茸、椎茸、春菊)
少ぅし甘めの割下に浸かった桜肉を溶き玉子に突ッ込んでいただきます。
量も量なんてんで、饂飩までにゃァたどりつけやせんでした。
和装の従業員を呼び付けて勘定を済ませまして、グレッチギターを愛用するあにさんが居るなんてぇ店に移りまさァね。
(了)
きのうは、「はりまのくに」あこうはんしゅ、「あさのたくみのかみながのり」さんのめいにちでした。
「せんがくじ」にはゆけませんでしたが、とおくからごめいふくをおいのりします。
せけんではどうやらつがいどもの「おす」のほうが、せんげつの「めす」のこうどうにたいしてなんらかのかたちでどうにかするひとききます。
ちゃんちゃらおかしいふうをきどりながら、なにかたべられそうでたべられないぶっぴんをさがします。
ありました。
「あめ」としてなをはせる、すぺいんのおかしです、みためはね。
じつは「げきやく」です。
たぶんしにます。
そくしまではいきませんが、しにいたるまではたいそうくるしいでしょうよ。
いくつかかいもとめて、にもつにしのばせます。
こうなるともう「てろ」ですね。
なにかされたきおくもないので、「しかえし」ですらないですが、なんのたいぎめいぶんもないので、「おかえし」となづけました。
それぞれのえりあに「おかし」をせっとします。
ひめいがきこえるまで、しらんぷり。
そろそろかな?
つづきはあしたのちょうかんで!
(おわり)
ついき:
ついいたずらがすぎました。
ゆるされないことです。
とりかえしのつかないおこないでした。
なんちゃって。
連日の痛飲が祟り、習慣的に朝方目覚めるも、瞼を臥せれば再び夢の中へ。
怠惰な半永久運動を繰り返し、空腹以外に理由も無い動機にて身体を起こす。
水分不足にも程がある脚を引き摺りながら、交通量の多い交差点を緩慢な動きで渡る。
眼が互い違いになった庖丁を握る猿の白帽には五つ星。
何か薄ら寒い気配を肌で感じながらも、何かを胃に収めなければいけない。
空腹だけが人の行動を決定するのだ。
小麦と鶏肉、そして少しの調味料。
固形物全てを酒精で流し込み、誰にも責められない褒められない日々を繰り返す。
時間だ。
歩き始めた背中は、少し蟹に似ていた。
(了)
えェ、本日ァ井の頭線沿線で御座んす。
連れ込み宿がさんざ聳える坂の途中を左に折れますと、煉瓦造りの外観が見えて参ります。
中に入るってぇと、間髪入れずに階上に案内されまして、まだ片付かない器が残る円卓に座りますな。
キチゲェ水と品を幾つか頼みまして、菜譜を再度眺めまさァね。
豆板醤と白髪葱で煙腸(Chinese Sausage)をつまみ、炒青菜(Fried Vegetables)、腰果鶏丁(Boned Dice Chicken with Nuts)、青豆虾仁(Fried Shrimps with Green Peas)と続けていただきまして、満腹中枢をじわじわと刺戟してゆきますな。
大陸的従業員を呼び付けまして勘定を済ませ、戸外に出た後、大きな街道向こう辺りの河岸に渡りやしょうかねぇ。
(了)
半蔵門線沿線、地下一階。
木目調の内装、木製のテーブル、白磁の当たる音。
BGMはジャジーな感じ。
「見て見てー、ほら」
あ、それはー、何とかサロン?
「そうそう、何とかサロン。超うけるー」
すげーな、目に入ったら痛そうな部品がいっぱいで。
「部品て」
それはどれぐらいするの?
「これ? これ、15,000円」
えー? 爪で15,000円は高ぇな。杉並だったら住めるよ。
「杉並超うけるー。でもさぁ、これでも安かったんだよ」
いやー、男にゃ分からんね。
「せっかくやってもらったのにー」
時間は15分くらいで?
「いやいやいやいや、そんなわけないって」
30分?
「3時間だよ」
えー? 爪で3時間て、切断された指つないでるんじゃないんだからさ。
発言直後の沈黙が最高。
(了)
あつもり、なんて云うと、熊谷次郎直実に斬首された平敦盛の悲劇なる幸若舞の演目を連想しがちだが、ここでは「脂そば」というおっそろしく高コレステロール高カロリーな品目のヴァリエーションとしての「冷たくない麺」を指す。
券売機より食券を購入し、トッピングとしてキャベツ、せめてもの保険としての温野菜を追加購入。
鏡張りの扉を押し開けると、店内は混み合っている様子。
狭い厨房を三人の老若男女スタッフが右往左往している。
「お好きな席にどうぞー」
あ、はい。あつもりでお願いします。
「にん~げん~ごじゅうね~ん」
敦盛じゃありません。
「にんにく入れますか?」
がっつりと。
8分経過。
「お待たせ致しましたー。脂そばキャベツトッピングです」
あ、はい。
大量の麺の上には、背脂らしきラード物質、裏路地で背後から引き裂かれたような豚の肉片、踊る鰹節、ざく切りされた長葱、湯通しされたもやし、丼の縁に二枚の焼き海苔。
箸を持つ。
丼を左手で持って麺を混ぜる。
左の掌に温度を感じない。
・・・。
これ、あつもりじゃないよう。(涙)
「にん~げん~ごじゅうね~ん」
(了)
えェ、本日ァ南北線沿線で御座んす。
坂下の更に下る坂の途中、見たことも無ェ家紋が染め抜かれた暖簾をくぐりまして、木戸を開けますってぇと、白木のカウンタァに案内されますな。
始めに「鶴齢」を冷やで一合いただきまして、幾つかの品を女中に伝えます。
運ばれる突き出しはってぇと、バイ、昆布の佃煮と何かが三点盛り用の横に長ェ小皿に乗ってますな。
突き出しの一点は失念しやして、面目次第も御座ィません。
十九時にして品切れという鶏豆腐を諦めまして、揚げ出し豆腐を代打に据えまさァ。
皮剥の造りも終わっちゃいましたなんてぇ云いますな。
せめて肝だけでも喰いてェなんてぇのは、意地が汚くていけやせん。
エボダイ塩焼きを突付き、芽キャベツの唐揚げをつまみ、米茄子海老しんじょうを転がして、「雨後の月」、「白岳山」と続けまさァね。
程好い加減になったところで勘定を済ませ戸外に出まして、街道を流す辻駕籠を拾い、河岸ィ変えましょうかねぇ。
(了)
えェ、本日ァ中央線沿線で御座んす。
青森ァ津軽を模したと思しき佇まいの木戸を開けますってぇと、番台が御座ィまして、下足番兼女中に案内されて梯子段を上がります。
吹き抜けからは囲炉裏が見えまして、旬の活魚が備長炭の炎で浜焼きにされる様をご覧じろなんてぇ趣きでげしょう。
囲炉裏の上ッから始まりまして、三階までぶち抜く、巨大な煙突は純銅製なんてぇ云いますな。
キチゲェ水をいただき、幾つかの品を焼き方に頼みます。
運ばれて来た突き出しァってぇと、卯の花と筍が並び、追い付け追い越せとばかりにキチゲェ水の量は増えてゆきまさァ。
お目当ての鰤の照焼き、銀鱈の煮付けを箸で荒らしまして、蛸の素揚げでちょいとつなぎ、毛蟹の潮汁を啜ります。
満足げに勘定を済ませ、戸外に出るってぇと、外は雪でげす。
番傘ァ開きまして、雪駄に沁み入る冷たさだけを気にしつつ、河岸ィ変えまさァね。
(了)
戦前の歌人、若山牧水は酒豪だったという。
宮崎で生まれ、沼津が終焉の地となった。
死因は矢張り痛飲が祟ったが故の肝硬変である。
猛暑の最中にに逝ってしまったが、遺体は傷まず腐臭もしなかった為、
「生きたままアルコール漬けになったのでは」
と医師に云わしめたという。
とまあ、そんな牧水の前振りは全く関係無いので御座んすが、沈丁花の香から紡ぎ出す歌もありまさァ。
沈丁花みだれて咲ける森にゆき わが恋人は死になむといふ
若山牧水
(了)
増山江威子といえば、峰不二子の声で知られる御歳73の大御所声優だが、乱暴ながら同姓つながりで話を続けると、増山麗奈というアーティストの存在を知った経緯は既に失念してしまった。
彼女を取材したという『桃色のジャンヌ・ダルク』なるドキュメンタリー映画が今月下旬から公開予定という。
リンク先での彼女の説明には、
自らの母乳を使った「母乳アート」や、女性の挑発的な肢体を描く「ネオ春画」
で知られる画家とある。
また、桃色ゲリラと称して、行う抗議活動には、
イラク戦争反対を表明するためにイラクに訪問したり、青森県六ヶ所村に乗り込んでの原発反対運動
があるという。
六ヶ所村と聞けば、放っとくわけにもゆくまい。
がそれよりも、
あえぎながら憲法9条を読み上げるパフォーマンス
という、"Love & Peace"を体現した演目がそぞろ気になるところだ。
(了)
あめがふっています。
でかけるよていもありませんが、いえにいるのもあれなかんじです。
むりぐりにようじをつくってでかけるどりょくをします。
たとえばしょくじ、そう、ひとはなにかをたべなければいきてゆけません。
しかしかなしいかな、すでにしょくじはすませていました。
すくなくとも、むこう4、5じかんはたべなくてもすごせます。
たとえばその2、かいものです。
だがしかし、かいたいもの、ほしいものがおもいつきません。
ぶつよくのなさもかんがえものです。
えんげるけいすうがいじょうにたかいのもいかがでしょうか。
くちからはいって、xxxxからでてゆくきえものにすべてがきえてゆきます。
「せいふんき」とはよくいったものです。
たとえばその3、ならいごと。
なにもならっちゃぁいませんよ。
「おげっしゃ」というたんごもひさしくきかなくなりました。
ふりこみなんて、ひとをかいさないしゅだんにとってかわられたのでしょうよ。
たとえば・・・、もうきりがないので、とりあえずあめのなか、かさをもってでかけます。
そとにでてみるとさほどふっておらず、こさめのようです。
えぬえいちけーほうめんをめざします。
ねこがいました。
ねこについてゆきます。
「しろじ」に「ちゃ」のもようのはいったねこです。
てっきんこんくりーとの3かいにあんないされます。
いすにすわります。
ざっしをよみます。
ひとがいれかわりたちかわりおとずれます。
3じかんごにかいほうされました。
なにかすっきりとしたこころもちで、あめのなかをあるきます。
ごかいのないようにいっておきますが、そういうのではありませんよ。
はんとしにいちどのいべんとでしたが、おせわになりました。
こんごともよろしくおねがいしますよ。
(おわり)
<20100307現在、加筆・訂正中>
本日ァ古書店街での落語会で御座ィます。
真打と二ツ目が高座を二席ずつ勤めます。
『噺の力』@らくごカフェ
林家ひろ木◆棒鱈
ひろ木あにさん、黄色ィ羽織りで御座んす。
サゲ:
「心配無い、故障が入った」
林家たけ平◆愛宕山
たけ平師匠、縞の着物に袴姿で御座んす。
サゲ:
「一八ィ、小判はどうした?」
「あ、忘れてきた!」
お仲入りで御座ィます。
林家たけ平◆星野屋
サゲ:
「あたしが三両くすねといた」
林家ひろ木◆津軽三味線
Deep Purple "Smoke on the Water"
The Ventures "Pipeline"
林家ひろ木◆時うどん
サゲ:
「四文損をした」
楽屋での会話、稽古がまる聞こえでした。
ひろ木あにさんの稽古声がよっく聞こえまして、高座に上がったたけ平師匠はさぞかし遣り辛かったでしょうなァ。
近所にへぎそばを手繰れる越後な店があるってんで、其処で飲んだくれましょうかねぇ。
(未完)
横手焼きそばなんてぇ云いますってぇと、ウスターソースで甘めに味付けされおりまして、キャベツと豚ァ挽き肉が入り、ひっくり返さずに焼いた目玉焼きが上に乗るンですな。
使う麺はってぇと、普通の焼きそばでご案内の蒸した縮れ麺じゃァありませんで、茹(う)でた真っつぐな麺でして、蒸し麺じゃァねぇですから、しんなりとした仕上がりになりまさァね。
で、付け合せにはってぇと、紅生姜と同じ赤でも福神漬が添えられますな。
これを手前ェんちの台所で再現しようと、まずは食材を求めに参ります。
・・・。
店内改装なんてんで、陳列棚の中身なんてぇ情けねぇ様子で御座んす。
キャベツは辛うじて半玉だけありまして、手に入れたンですがねぇ、豚挽き肉が御座ンせん。
仕方無ェってんで、代用として豚ばら切り落としにしますな。
肝心のすとれーと麺も無く、普通の縮れの蒸し麺で我慢しまさァ。
福神漬は値札のみがあるだけで、止む無く紅生姜に。
鶏卵はってぇと、「今日はニワトリがお休みです」という洒落にもならねぇ札がありましたってんで、むしり取っ床に叩き付けてぇ心持ちを抑えて、目玉焼きも諦めます。
生鮮食品ですらねぇウスターソースも見当たらねぇってんで、野郎どうなってやがんでぇと、店の小僧に詰め寄ったところで、「改装、かいそー」と葬礼みてぇなことを抜かしやがるばかりで、埒が明きやせん。
煮え切らねぇ買い物でしたが、手前ェに言い聞かせて家ィ戻りまさァね。
さァ、れっつくっきんぐで御座んす。
じゅーっと香ばしいひとときで御座ィますな。
・・・。
これァ、ふつうのソース焼きそばでげすなァ。
横手への道ァまだまだ遠いという一席で御座ィました。
(了)
魚偏にBlueと書いて鯖とは周知の事実だが、実際に鯖を切り身にして、味が滲み易くする為に庖丁で切り目を入れ、適量の水、中華だし(例えばウェイユーとか、ウェイパーとか)、薄切り生姜、太目の長葱、砂糖、コチュジャン、少量の酒、味噌、醤油、チャムギルムとは韓国産胡麻油のことで、これらを素手で、キレイキレイとかそんなんでよーく洗った素手で、しかも右手でこねくり回して、ぐちぐちぐちぐちと混ぜながら、おいしくなるおまじないとして、発するひとり言の語尾全てに「ぴょん」を付けて、ふと我に返って少しきぶん落ちてみたりしてる間に、なべなべしい鍋に鯖を並べて、その混ぜ混ぜのペースト状も注ぎ込んで、点火、三日点火ぴょん! で、がっくし肩を落として、くつくつくつと煮立ちを認め、火を弱め、たまにおたまで、おたまちゃんで、煮汁をぐるぐるぐるとかけ回しかけながら、十分程煮るかと云えばそうではなく、既に出来合いの鯖を皿に盛り、煮汁をかけ回しながら最後のおまじないだぴょんとばかりに、小粒でひりりと辛い山椒の粉をはらはらはらと振りかけて、彩り系として青菜的なのを塩茹で系にして、そいつら添えて完成か、ほんとにそうなのかみたいな? と半疑問系で自分に問い掛け、妄想力をMax働かせて登場させた、メガネっ子萌えキャリアな遣り手アナリストから「ヴェトナム株は今が買いよ」と耳元で囁かれても何の実感もわかず、既にリタイア気味な我が身を案じて、きもちだけは投資家きどりで街をさまよい、坂の途中にあるアオザイを売る雑貨店の中で、まるくちいさなヴェトナム小物を万引きしてあっさりと捕まり、実は何の投資にもなってないと気付いた留置所の中で、鯖のコチュジャン煮を夢見るのだった。
(了)
モーニングアタックを受けている、と云ったら耳慣れない自分には何か隠微な響きも含んでると妄想がちだが、寝てる間に吸い込んだ花粉が朝の目覚めと同時に症状を劇的に花開かせる花粉症なんてつまらない現代病にやられっぱなしで、病理学的に云うと、セイタカアワダチソウとかブタクサ、スギにヒノキにシラカンバの所為にしてしまうのだが、実はセイタカアワダチソウには花粉を飛散させる能力は無く、俗名がブタクサだったばっかりに、悪もんにされちゃァたンまらねぇってわけで、セイタカアワダチソウは虫で花粉を運ぶから、人の鼻腔には入り難い入り辛い這入り逝けないから、どうか皆さん、セイタカアワダチソウを憎まないでください、セイタカアワダチソウはそういうのじゃありません、と声高に訴えても、やはり花の所為で鼻から洟は止まらないのは明らかで、ただただ連続するくしゃみに脳を揺す振られたドランカー同然に、手に紙ィ持って室内を徘徊するしかないのだった。
(了)
花の香が匂う季節になりましたな。
あたしんちの最寄の駅舎の植え込みにはってぇと、白を基調とした花弁の内に、雌ァ淡い紅色を、雄ァ黄色をつけた沈丁花(じんちょうげ)が毎年咲きまして、春の訪れが何とかなんてぇよりも、春の色に狂う香を漂わせております。
赤く丸い実がなるってんですがねぇ、これが毒ってんですから、綺麗な花には何とやらなんてんで、よくできたもんですな。
歳時記によりますってぇと、春の季語なんてんで、風流を嗜む心持ちにもなりましたがねぇ、同時に『じんじろげ』なんてぇ古い珍歌を思い出しまして、脳内MP3の雑念を追い払うのに時間を割かれます。
調べてみると、一九六一年のリリースなんてぇ云いますな。
あたしゃァいったい幾つになるんでしょうかねぇ。
着地点もぐずぐずなまま、お後と交代で御座ィます。
(了)