July 31, 2011

『花月』

よく弾むボールで遊ぶ。(下衆な比喩表現) (3点)

(了)

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July 30, 2011

◆『落日』

えェ、本日ァ図書館での落語会でござんす。

前日からの痛飲が祟りまくりなまま、昼過ぎに山手線に乗りまして、何故か外回りで自宅を目指している事に気付きます。
逆逆、逆だよとの脳内交信が何度かありまして、それでも外回りを降りたりは致しやせん。
無い智慧を搾った挙句、目黒より三田線に乗り換えまして、目指すは文京区で御座ィます。

『第一回 千石図書館寄席 圓楽一門真打競演「圓福・大楽二人会」』
@千石一丁目・文京区立千石図書館二階アカデミー学習室

午後二時の開演に何とか間に合いまして、「寝ない事」だけが仕事と請け負っての着座と相成ります。

三遊亭大楽◆ちりとてちん

「三遊亭圓楽の二十六番弟子です」
「・・・今の腹黒圓楽(前名:楽太郎)じゃァございません、先代の圓楽です」

まくらが終わる頃に、まいくが音を拾わなくなりますが、ただっ広い会場でもないので特に必要ともしないんですがね、演者が高座でお喋りしているにも関わらず、係り者らしき初老の男性がまいくろふぉんの様子を見に高座まで参ります。
この手の会は主催者側が初と云う事もあり、微妙な緊張感もあって客側としましては如何にもはらはらしちまいますなァ。

三遊亭圓福◆平林(ひらばやし)

本編:
「タイラバヤシかヒラリンか、イチハチジュウノモックモク、ヒトツトヤッツデトッキッキ」

仲入りで御座ィます。

三遊亭大楽◆半分垢~大安売り

「被災地慰問で現地に伺いました」
「避難されてる方は体育館にいらっしゃる訳でして」
「体育館にあるステージに上がりまして一席演るんですが」
「お互いのプライバシーを守る為に、こう段ボールで囲いがしてあるんですよ」
「まァですから、人の顔なんて見えません」
「それでも我々はお仕事ですから、段ボールに向かって噺をするんですね」
「たまァに段ボールの壁から顔がひょいと出まして、『あ、知らない顔だ』なんてんでまた引っ込むんですよ」
「で、また段ボールに向かって噺を続けるんです」

三遊亭圓福◆お菊の皿

本編:
お菊、全国つあーふぁいなるの東京どーむ公演にて体調不良と相成ります。

追い出しも無く、図書館員の閉会宣言がありましてお開きで御座ィます。
一睡もしてない針の振り切れたてんしょんのまま、新宿区へと移動しまして蕎麦屋でぐだぐだと飲んだくれまさァね。
どなた様も壊れゆく様をごゆるりとお愉しみくださいませ。どっとはらい

(了)

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July 29, 2011

『某日』

何だか忙しないので覚え書きで茶を濁そう。

29日20時~
壱:角打ち、サッポロラガー
弐:角打ち、スーパードライ
#03 : BAR, Irish whiskey(Uknown)
#04 : BAR, Orion beer, Tacos
#05 : BAR, (Uknown)
陸:歌、緑茶ハイ
漆:中華、啤酒、麻婆豆腐、上海炒麺
#08 : BAR(=#04), (Uknown)
玖:焼酎(銘柄失念)
~30日12時

9軒!
気が付けば16時間が経過していた。
面子もほぼ入替となっており、記憶も財布の中身カルフォルニアの青い空である。
照る陽が完全に真上にある頃に解散。
とは云え、これから外出する用があるのだ。

(了)

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July 28, 2011

『好日』

黄色いサンダルをバナナを持つ様に握り締めながら歩く裸足のホームレスとすれ違う。(3点)

(了)

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July 27, 2011

◆『月日』

本日ァ湯島での根多出し落語会でござんす。
曇天模様ながら降りそで降らずに湿度だけが上昇してゆく気候でして、僅かばかりの移動でさえ難儀しますな。
そんな言い訳だけじゃァござんせんが、湯島天神への参詣は毎度毎回女坂を選って上りまさァね。

『第三回 らくご・古金亭 ~時しらず、夏の冬噺~』
@湯島三丁目・湯島天神参集殿一階ホール

当会、「五代目古今亭志ん生・十代目金原亭馬生師匠の遺された演目だけを演じること」を目的とされてまして、毎回一門以外よりひとりの助演(げすと)をお招きしての会だそうで。

十七時五十分より前座さんが高座に上がりまして一席を伺います。
前座の噺は番組に入らない所以の開演時間前のお勤めで御座ィます。

金原亭駒松◆狸の札

「金原亭馬生の弟子で駒松と申します」

金原亭馬吉◆不精床

この噺、どうにも不衛生で尚且つ人体破壊描写も烈しいてんで、さして好まないんですがね、馬吉あにさんが演りますてぇと、元より声が高い所為か、現世から少ぅし高い位置まで飛躍しまして痛みが伴わない絵空な他人事として傷を負う髪結い床における被害者を俯瞰出来ましたぃ。

桃月庵白酒◆粗忽長屋

「夏バテでしてね、こう見えても8キロ痩せました」
「・・・誰も気付いちゃァくれませんが」
「まァ貴乃花ぐらいの状態だと周りに気付いて貰えるんでしょうけど」
「・・・あの痩せ方は異常ですよね、どう考えても現役時代に何かやってたんじゃないかと」

「夏と云えば矢張り怪談噺なんでしょうが、近頃ではあまり演りませんで」
「今でも高座に掛けますのは、(林家)正雀師匠ぐらいですかね」
「あたしも(五街道)雲助一門として、前座の頃にお手伝いした事もあるんですよ」
「弟弟子の(隅田川)馬石と鳴り物を合わせたりしまして、こいつは真面目なんですが本番に弱いという」
「もうひとり下に(蜃気楼)龍玉てぇのが居るんですが、こいつは役に立たないので『お前、見学な』って云って何もやらせませんでした」

金原亭馬生◆唐茄子屋

馬生師匠、緋毛氈の高座に敷かれた座蒲団の端をを捲りながら訥訥と話し始めます。

「高座用で少し厚めの座蒲団は使い古してても不思議と足が痺れ難いんです」
「・・・これ、普通の座蒲団ですよね」

「前回(の会)は震災の直後でしたか、歩き過ぎたのか膝を痛めてまして」
「(春風亭)小朝さんのお弟子さん(ぽっぽ)、女の子の前座さんの肩に掴まりながら高座を下りました」
「・・・今日は男の前座なんで自力で下りますがね」

馬生師匠、矢張り膝がよろしくないのか高座を下りる動作が必然的にゆっくりになります。
見兼ねた前座が袖より介護に駆け付けようとしてまして、「お前はいいよ!」なんてぇ云われてました。

本編:
舞台となります、本所達磨横丁より吾妻橋を渡りました田原町の誓願寺店(せいがんじだな)を「今の浅草ビューホテル辺り」と説明します。

お仲入りで御座ィます。
仲入り後は「時しらず、夏の冬噺」と銘打ちましての趣向でござんす。

柳家小満ん◆三助の遊び

前座さんの手によって座蒲団は厚手の品に入れ替わりまして、小満ん師匠が高座に上がります。

「(座蒲団の端を捲りながら)こっちの方がいいですね」
「座蒲団はいいんですが、高座は不安定なままですね」
「(高座を指して)これは替えられないの?」

「三助という商売の方はもう殆ど居りませんね」
「銭湯自体が年々減るばかりですから」
「落語協会に柳家さん助師匠という方が居りまして」
「高座では客席に向かって『お背中流しましょうか』なんてぇ根多を披露されてましたが」
「・・・あの方も銭湯と共に居なくなりましたね」

五街道雲助◆替り目

寄席では「元帳を見られた」までしか聞かれません噺の通し公演で御座ィます。
下座さんの爪弾く生三味線に乗せましての新内流し、都都逸、小咄餡子入り、大津絵(冬の夜)を唄い、上半身のみで活惚(かっぽれ)まで踊るという盛り沢山な内容でござんした。
根多おろしなのか如何かは存じませんが、大津絵導入部ではしくじりが御座ィましてそれも愛嬌ととられて受けておりました。

追い出しが鳴りましてお開きで御座ィます。
湯島と云えば外せない近くにありますなんてぇ半島系料理の店に伺いまして、蒸された豚肉をおきあみの塩辛で浸し白菜と大根の漬物で包んで順繰りにノセまさァね。
仲入り前の馬生師匠の噺にもありました「久離切って勘当」なんてんで、胡瓜刻んだ焼酎も戴きまして湯島の切通しの向こう、夜は更けてゆくので御座ィます。

(了)

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July 26, 2011

『月並』

その辺を歩いている全然知らない子どもに「お父さんにますます似てきたね」と云ってあげる。(3点)

(了)

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July 25, 2011

『忘月』 (第54回)

<赫イ兎>
この世界では駿足である黒馬に跨る新聞配達人(♀のみ)は、号外が発行される時期には昼夜問わず危険な本街道を高速で駆け抜けてゆくのが常なのだが、稀に道を逸れてしまって野生動物に襲われて絶命している事もしばしば。
実際に現場を目撃した時には巨大鼠や灰色狼に跳び付かれたり咬まれたりしており、護身用の短剣を所持しているにも関わらず無抵抗である。
女ァ、何故抵抗せんのだ。
そんな不遇な彼女を見掛けた当初は罪の無い一般市民の生命が脅かされているという義侠心から助けねばなるまいと加勢したりしていたのだが、やさぐれ街道まっしぐらな今では獰猛な四ツ足の執拗な攻撃によって配達人が弱ってゆく様をゆっくりと眺め、絶命の果てに落馬した亡骸に駆け寄って衣類はおろか遺品さえも漁って選って剥ぎ取っている
下着姿で放置されている様が痛ましい。(誰の所為なんだ)
いずれ所有する黒馬も奪って走り去る日も近いだろう。(盗品扱いなので少し抵抗がある)
・・・何処まで堕ちてゆくのだろうか。
しかも、この配達人エピソードは以前にも掲載していると今気付いた。(でも載せちゃう)

(續く)

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July 24, 2011

◆『式日』

本日ァ区立図書館主催の落語会でござんす。

伺いましたら、何でも本日の十二時を以ってあなろぐ放送が終わりだそうで。
あたしゃァてれび電波にゃァ縁遠く暮らしておりまして、感慨も無けりゃァ何の用もござんせんなァ。
それでも何処か不安な気になるてぇのは、頼りねぇ話でござんすが。

九段下より東西線に乗り換えまして葛西駅を目指すんですがねぇ、普段から乗り慣れてねぇ路線てんで、しかもあたしの乗りました電車てぇのは急行だったようで、葛西には停まらずにあまつさえ浦安を通り過ぎたのも気付かず、更に東の西船橋まで連れてゆかれまして、すわ一大事と各駅で引き返しまして葛西より路線ばすに乗り継ぎ、ようやっとの到着と相成ります。

『納涼東葛西寄席 桂扇生 落語の会』
@東葛西八丁目・東葛西図書館コミュニティ会館三階

図書館長さんのご挨拶から始まりまして、節電的薄暗さと暑さの中で開会致します。
お子達は夏休みとみえまして、ご家族の方に連れ立って参加しているのが見受けられる様で、扇生師匠の根多選びも自然とそれらしくなって参ります。

桂扇生◆桃太郎

「嬉しいですね、こういう会に呼んで頂けるのは」
「こういう手製の団扇まで用意して頂きまして」
「今日の日付け、私の名と演目まで入ってます」
「限定七十個だそうで、皆さん大事に仕舞っといてください、あ、扇いだりなんかしちゃァいけませんよ」
「・・・これは市販の団扇の紙を全部剥がして、印刷した紙を貼り付けて、こう周りをじょきじょきと鋏で切ったんですな、価値のある一品です」
「・・・先日伺いました葛西図書館では作ってくれませんでしたね」

桂扇生◆箍屋(たがや)

「さっきまで其処に座ってた男の子は? 帰った? え? 最初から誰も居なかった?」
「・・・まァそういう事もありますね」

追い出しこそ鳴りませんが、お時間となりましてお開きで御座ィます。
これより日本橋にある寧波料理の店を目指しまして、あれから代々木での独逸麦酒祭りに参加しまして、四谷へと流れ飲んだくれるんですねぇが、まァそれはまた別のお話で御座ィます。

(了)


<覚ヱ書キ>
冷菜三種
蒸点心三種 
揚点心二種

雲呑麺
啤酒

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July 23, 2011

『嘉日』

迷彩服で近所を徘徊する老婆が居る街に来ている。
具合の悪さ自慢で盛り上がれる仲間さえ在れば、さぞかし心強かろう。
塗り重ねた配色には、意味も加味も酸味さえも無いと知っているだけに辛い立ち位置でもある。
攻勢に転じた頃から全体図が見えなくなっているのが過信の結果だとしても、何処か得がたい信実が在るのも馴れ初めに相違ない。
転がされたは飽くまでも脆く、不遜な小船に漕ぎ手は要らずとも血中には残された僅かの共振が在るばかりである。
許されるのならば、ただ一度の往路だけでも流されるままに甲州街道を北へ北へと越えてみたいものだ。

(了)

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July 22, 2011

『月蝕』

時折を想像する。
種は問わないが、必ず和ではない類である。
映像よりも静止画に等しいは吠えないし、身動きもしない。
想像力の欠如からか、凝視するも毛色も立つ姿勢も酷く曖昧である。
私は低い椅子に座っている。
目前に在る低く垂れた頭部を撫でたりもしない。
特に意識して食事らしき物体も与えないが、忘れた頃に動く尾は何らかの生命活動の一環であろう。
当然、飼主と飼の関係性は皆無である。
側で長く下がった舌も出す気遣いさえない。
憎まれているとも愛されているとも互いに思っていない。
空気よりも水に近い存在と思える時もある。
しかし、私は造形的にはが優ると信じている。
を想像すらしないのは、憧憬が存在しないに過ぎない。
前者よりも空気に近しい。
両者に共通して云える事は、どちらも好んで食べようとは思わないというただ一点に集約されるのだ。

(了)

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July 21, 2011

『忘月』 (第53回)

<道ノ修羅>
この業界では青服を着ている一派黒服を纏う集団「絶対悪」と認定されている為、殺害しても罪に問われないのが一般常識となっている。
彼らが安らかに休息している寝室に忍び込んで寝込みを襲おうが、さァ愉しい会食だと世間話を交えながら穏やかに咀嚼している食事にを盛ろうが、野草を摘んだり美しい景色に見惚れて癒されている最中に背後からいきなり斬り付けようが、これらの行為は全て正義の鉄槌と見做されて賞賛こそされ、処罰の対象ではないのだ。
上記の現状を踏まえて、さァ今日も元気に政府公認の人間狩りの始まりである。
きゃっほーい。
一軒目、突然の侵入者に怯え青褪めた顔で逃げ惑う青服老若男女を追い詰めて全滅
所持品一切合切を回収し、売却不可である不要な物品(安価な雑貨、日用品、等々)は死骸に預けて撤収
やふー。
二軒目、屋外に居る見張りらしき黒服男坂の上で斬殺
斜面を何処までも転がり落ちてゆく亡骸に走り寄って所持品を奪取
狭い部屋ばかりで仕切られた室内では、黒服男女らの同士討ちを誘って殲滅
所持金、貴重品全てを悠々と袋に詰めて持ち帰り、街で売却。
いえーい。
・・・何か、目的を見失いつつあるな。
良心の呵責が未だ在った頃は、正当防衛の名の下に「初めに手を出したのはそっちだろ」と一度攻撃を受けてからの反撃に徹していたのだが、今となっては積極的な殺害目的で毒を用いたりしている。(然も先手有利とばかりに第一撃は断然当方
改めて自分履歴を眺めてみると、殺害人数は千人単位なのだが、殺害回数はゼロである。
・・・正義とは何か、疑念が浮かんで止まない今日この頃である。(まァ他に娯楽がないからね)

(續く)

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July 20, 2011

◆『臨月』

連日連夜で御座ィますが、本日ァ銀座での若手落語会でござんす。
銀座と云いましても八丁目ですから、新橋駅に程近いんですな。
・・・繋ぎの心積りが、軽くのキチゲェ水から冷酒に迄手ェ付けましてのぐだぐだな会場入りで御座ィます。

『我らの時代 落語アルデンテⅢ』
@銀座八丁目・銀座博品館劇場

本公演は元来三月十四日の予定でしたが、例の震災の為に中止となっておりまして、時期を置きましての開催で御座ィます。

林家はな平◆子褒め

「めくりにもあります通り、春風亭ぼっぽと申します」

春風亭一之輔◆蛇含草

「銀座ですよ」
「まァ銀座が似合わない四人ですね」
「どちらかと云うと、砂町銀座の方です」
「何かを志して集まった四人ではありません」
「大人の事情で集められただけですから」
「私以外、暗ァい影のある三人です」

「なでしこジャパンですよ、(昨日の高座と内容が被るので一部割愛)」
「まァでも、女子サッカーの方は親近感がありますね」
「フィギュアの方や女子バレーの方は銀座に連れて行かなくちゃいけないかなと思いますけど」
「女子サッカーの方はもう砂町銀座ですよ」
「『笑笑(わらわら)集合!』みたいな」

「この会、第三回目になります」
「前回は、なかのZERO(中野)でした」
「次は何処であるのかなと聴きましたら、イイノホール(霞ヶ関)ですって」
「・・・何処を目指してんでしょうね」

三遊亭兼好◆風呂敷

「矢張り云わなければなりませんね、なでしこジャパン」
「私は丁度その時に仕事がありまして、朝早く駅を目指してタクシーに乗ってたんですよ」
「タクシー運転手さんもテレビ中継に夢中でして」
「試合よりも前を見ろと思ったんですけど」
「PKが始まった頃に駅に着いてしまいまして、『運転手さん、これ最後まで見ててもいいですか』って伺ったんですよ」
「『どうぞどうぞ』てんで、一緒に観戦しましたね」
「で、最後のPKが決まった時には、もう知らないおっさんの筈の運転手さんと手を叩き合ったり抱き合ったりして、それはもう盛り上がりましてお互い喜び合いました」
「よかったねーよかったですねーなんて云いながら、もうこのまま料金払わなくてもいいんじゃないかなーとドアから出ようとしますと」
「『二千二百円』って手を出されました」

「それでもそんな彼女達に恨みがあるんですよ」
「国から助成金が出ましてですね、日本の文化を海外に伝えて来いてんで、ドイツまで行かせて戴いたんですね」
「助成金たってまァあれですから、ねぇ、行きと帰りとホテルが付いてまァ赤字黒字ぎりぎりみたいな仕事だった訳ですよ」
「それじゃァあんまりだてんで、主催者側の方が気を利かせてくれまして、デュッセルドルフというところでドイツに滞在する邦人向けの落語会を開いて戴きました」
「そしたら運悪くですね、落語会と女子サッカーの試合が同じ日だったんですよ」
「・・・日本人、誰も来ない」

「今の政治家はだらしないですね」
「松本(龍・前復興相)さんですか?」
(割愛)
「鳩山(由紀夫)さんは危ないですね」
「東北地方の地図で福島と思って指差したら秋田ですから」
「安倍(晋三)さんも分かってないでしょうね」
「四国四県、云えませんよ」
「それでも麻生(太郎)さんは、何県が何処にあるのぐらいは分かってるんですよ」
「でも、岐阜って漢字は絶対書けないですね」
「『岐』も『阜』も普段使わない漢字ですからねぇ」
「特に『阜』なんて何処で使うんでしょうね」
「菅(直人)さんは、もう沖縄の場所さえ分からないですよ」
「福井辺りにあると未だに思ってますね」
「菅さんは福島の場所が分からないんですよ」
「で、お付きの人からこっそり『ここですよ』って教えて貰ったりして」
「『あー、ここね、こないだ原発の事故があったところだ』」
「(苦い顔で)『だからー』」

本編:
「だから、君子(きみこ)危うきに近寄らずって云うだろ」

サゲ:
「兄ィそれじゃァ駄目だよ、風呂敷被って俺みたいに大人しくしてる訳がねぇ、それは上手くいかない」

お仲入りで御座ィます。

桃月庵白酒◆鰻の幇間(たいこ)

「こう暑いと体調も悪くなりますね」
「今日は新宿(末廣亭)と池袋(演芸場)に上がったんですが、ここ銀座に来ましても未だに二日酔いが抜けません」

「今、池袋で(柳家)小満ん師匠と楽屋が一緒でして」
「やはりああいう密度の寄席ですから、お子さんが居るとどうしても下な噺は避けてしまうんですが」
「小満ん師匠に相談しましたら、『そういう時こそ演るんだよ』と云われまして」
「で、『短命』を掛けましたら、続く小満ん師匠はもうそれは艶っぽい『夢の酒』を演ってらっしゃいました」
「で、トリが・・・(川柳)川柳師匠なんですよ」
「もう何ですか、小満ん師匠と私とでせっかく掃き清めた庭に、げろ吐かれるみたいな」
「いつもの『ガーコン』ですよ」

春風亭百栄◆ドラ吉左衛門尉勝家(根多帳:ドラ吉左衛門之丞勝家)

「・・・えー」
「・・・ノープランで来た勇気だけを買って戴きたいんです」

本編:
下手にある勉強机の引き出しから現れる人物を全編大山のぶ代声で通すという荒業も然る事ながら、自らの前座名である「のり太」がそのまま過ぎる設定にて自虐な展開で新作落語創作の手助けにと未来の道具に頼らせ、しかも他登場人物が三谷幸喜と三遊亭円丈という、定点観測が終わらない終わらせてくれない運びとなりました。(何だそりゃ)

追い出しが鳴りまして、お開きでござんす。
琉球な店ぇ訪れまして泡盛を戴きながら銀座の宵は更けてゆくので御座ィます。

(了)


<覚ヱ書キ>
海ぶどう
ゴーヤイリチー
瑞泉青龍
直火請福

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July 19, 2011

◆『忌日』

本日ァ神保町での落語会でござんす。
開演前に時間があるてんで、会場の近くにあります半島系な店でキチゲェ水と辛味ある何品かを程好く戴きましてからの油断した運びに相成ります。

『らくごカフェに火曜会』
@神田神保町二丁目・神田古書センター五階

会場にて墨西哥産の麦酒を戴きましたところで、一番太鼓が鳴り始めます。

春風亭一之輔◆粗忽の釘

「台風が近付いてますね」
「私が前座の頃、新宿末廣亭での出番がありましてね、当日物凄い台風だったんですよ」
「お客さん来ないだろうなァと思いながら、念の為うちの師匠(一朝)に電話してみたところ」
「『やらないとも連絡が無いから、行くだけ行ってみたら?』と云われまして」
「末廣亭に行きましたら、席亭もスタッフも皆来てるんですね」
「で、矢張り時間になってもお客さん一人も来ないんですよ」
「暫くして席亭が前座に『これで何か旨いもんでも買って来い』って一万円くれたんです」
「で、近くの伊勢丹の地下食品街に向かいまして」
「折角だから食べた事ない物を買おうと、・・・ムール貝とか買いましたね」
「それから寄席に戻りまして、皆さんと買って来た食材を抓みながら・・・流石にビールは飲ませて貰えませんでジュースでしたが」
「そしたら席亭が『お前、落研の頃は大ネタばっかり演ってたんだって?』と絡んで来たんですよ」
「いや、そんな演ってないっすよ、なんて否定してたんですが」
「『こっちは知ってんだぞ、落研の横の繋がりで全部情報入ってくるんだからな、卒業の会で<ねずみ>演ったらしいじゃねぇか』って云われましてね、『それを演れ』と仰るわけですよ」
「で、高座に上がって演り始めたんですが、五分で下ろされまして」
「『まさか、ほんとに演るとは思わなかった』って云われました」
「あれ以来、『ねずみ』は演ってません」

「まァ酒が入りますと人は変わりますね、よく喧嘩もしましたし」
「いくら縦社会で前座同士が先輩後輩の関係でも、生ビール二十五杯も飲みゃァ、ねぇ」
「『お前ンとこァいいよなァ、一朝師匠なんてさ楽でよォ』」
「いや、別にそんな事ないですよ」
「『いや、お前ェんとこは絶対ぇ楽だ、全然楽なんだよ、楽楽』」
「・・・楽楽ってねぇ・・・お前が好き好んで(柳家)権太楼んとこ行ったんだろうがッ!」
「・・・誰とは云いません」

「・・・なでしこジャパン、この辺がむず痒くなりますね、云ってて」
「私は当日、後半終了の二分前から見てました」
「フジテレビの青島アナ、何か色々云ってましたね、前もって考えてる様な台詞ばかりですよ」
「でも、親近感ありますよね、女子サッカーの方は」
「日高屋とかでバイトしてそうじゃないですか」
「フィギュアの方は何だかお高く留まってらっしゃいますし、女子バレーは長身で美人の方が多いですしね」
「女子サッカー、アメリカ代表のワンバック選手は背が高くて短髪で宝塚みたいでねぇ、(三遊亭)小円歌みたいな」
「私は背の高い短髪の女性が好きなんですよ」
「ワンバック選手に『オマエ、ソコニスワレ』なんて命令されてね」
「『オマエノラクゴハツマラナーイ』なんて云われてみたいですね、ぞくぞくしますよ」
「その点、女子サッカーの方は親近感ありますからね」
「あの娘達、車座んなって飲んでそうじゃないですか」
「『今日、山で捕れた猪だー』って持って来たりして」

「えー、台風が近付いてますから皆さんともこれが最後かも分かりませんが、一席ご機嫌を伺っておきます」

本編:
天井に巣を張る蜘蛛を見た大工の職人、「(三遊亭)天どんみてぇな面ァしやがって、この野郎、この野郎、この野郎」と八寸もある瓦ッ釘で叩き殺します。
一之輔あにさんにとっては大師匠に当たる先代の柳朝師匠と同じ型でして、行水桶のえぴそーどがありました。

サゲ:
「八寸の瓦ッ釘じゃァ箒ィ掛けるにゃ長過ぎた」

蜃気楼龍玉◆星野屋

客席にお子様がいらっしゃるのは先刻より百も承知ですが、大店の旦那とその妾の噺で御座ィますよ。

サゲ:
「(実は本物の小判と)そう思って五枚くすねといた」

お仲入りで御座ィます。

春風亭一之輔◆不動坊

「えー、龍玉師匠は先程お客様よりビールを戴きまして、ものの十分で既に二本目に手を付けています」
「まァ通常は二人で四席演るんですが、二席ずつ演るとあまり良くないんですね」
「先日も龍玉師匠、三遊亭天どんなる珍妙な名の方と私で『牡丹燈籠』をリレーで演りまして、まァ痛い目を見ました」
「ですから、私でお開きという事で・・・」
「・・・龍玉師匠、まさか二本目を飲み始めるとは思いませんでしたけどね」

本編:
落語中興の祖と呼ばれる天どん師匠の弟子で布哇(ハワイ)出身の三世、三遊亭ロコモコが幽太役で登場します。

追い出しが鳴りまして、お開きで御座ィます。
夕暮れ時にノセましたのが未だ尾を引いておりますので、キチゲェ水だけを求めまして水道橋より総武線に乗りますな。
新宿方面を目指しまして途中下車ァしますが、それは又別ので御座ィます。

(了)

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July 18, 2011

『にっこう』 (だい2かい・さいしゅうかい)

6じはんにめをさまします。
あさがたのじょしさっかーは、ぴーけーとかそういうあれでどうにかなったみたいでした。

あさごはんは「ぱえりあ」です。
ものすごいぶんりょうだったので、じゃすぱーにもてつだってもらいます。
めしつかいどもはすみっこのほうで、わたぼこりにしょうゆをかけてすませていたようでした。
あんなものがおなかのたしになるのかしら。

8じにちぇっくあうとします。
くるまにのりこんで、きょうのもくてきちにむかいます。
とうちゃくです。
これから「きぬがわ」で「きゃにおにんぐ」です。
めしつかいどもにせつめいするのもめんどうなので、うごきにくいかっこうでかわにながされてゆくあそびだよ、とつたえると「すまき」にしてかわにほうりこまれるとおもいこんだらしく、めしつかいのひとりはかおいろをかえてはしりだしました。
すかさずじゃすぱーがおいかけます。
・・・ざんねんなことにとうぼうちゅうにがけであしをすべらせためしつかいは、はるかしたにあるかわのあさせにらっかしてしまい、とおめでみましたが、すでにげんけいをとどめていませんでした。
ほかのめしつかいどもはほうしんじょうたいです。
かかりのものをよび、めしつかいどもにそうびひんをそうちゃくさせ、すまきどうようにかわへとほうりこみます。
ぼくとじゃすぱーはけいかいにながれてゆきますが、めしつかいどもはかおをみずにつけたまま、どこまでもながされてゆきます。

「なめどこ」といういちまいいわのかわぞこが、きれいなかわのながれのむこうよくみえます。
ふしぎなこうけいです。
そのいちまいいわをあるいたり、すべったりしてかりゅうをめざします。

かかりのものがからんできました。
「えあぎたーをひいてください」
しょたいめんなのになんなんだ、そのむちゃなようきゅうは。
じゃすぱーもどういけんだったようで、さっそくかかりのものののどぶえにじゃれついて、そのままみえないところまでひきずっていってくれました。

ぶじにながされおわると、じゃすぱーとぼくだけでした。
かわからあがってしゅうごうばしょまでもどります。
おなかがすいたので、てきとうなみせでてきとうにしょくじをすませ、かえるじゅんびをします。
めしつかいがひとりもいないので、ずいぶんとてこずりましたが、じゃすぱーがいろいろとてつだってくれました。

かえりはじゃすぱーとふたりぼっちでしたが、とてもたのしいたびでした。

(おわり)

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July 17, 2011

『にっこう』 (だい1かい)

3じはんにめをさまします。
5じに「あきはばら」にゆかねばなりません。
ちかばでくるまをかりるつもりが、しょはんのじじょうから「でんきがい」からのしゅっぱつになってしまいました。
そうちょうに「あきば」にゆくのははじめてです。
ちみもうりょうがばっこしているにちがいありません。
そして、ふたをあけてみれば5じにあきばにゆくでんしゃなんかそんざいしないとしりました。
げんじつはきびしいものです。

それでもなんとかくるまをかりまして、1ぱく2かのたびのはじまりです。
まずはどれいどものかいしゅうさぎょうです。
おっと、げんだいでは「どれい」なんていっちゃいけないですね。
めしつかいどもをじゅんじゅんにかいしゅうしてゆきます。
こんかいは4にんほどいけどりました。
6にんのりのくるまですから、にもつとめしつかいどもでいっぱいになります。

「はたがや」からしゅとこうそくにのっかります。
みちはじゅんちょうにながれています。

7じはん、「はすだ」にとうちゃくしました。
ちょうしょくにはかるく「ひれかつ」をいただきます。
かるくたべはじめたのですが、かんしょくできなくてがっかりしました。
なぜなんでしょうね。

うっかりおりるべきでぐちをみうしないました。
すこしどらいぶしてからきどうしゅうせいすることにします。

9じはん、「やいた」からいっぱんどうろにおります。
めざすは「たき」というざっくりなちめいのばしょです。

「たき」にとうちゃくします。
かわのせせらぎがここちよいですが、たいようはぎらぎらとかがやいています。
めしつかいどもにしじをあたえ、ひかげでくつろぐことにします。
えんてんかではたらくめしつかいをながめながら、こかげにてつめたいびーるをいただきます。
めしつかいのじゅんびしたやきものがつぎつぎとはこばれてきます。
かますのひもの、かわはぎのひもの、なす、ぶたにく、ぎゅうにく、などさまざまです。
ひとくちつまんでは、のこりを「いぬ」にくれてやります。
おいで、じゃすぱー。
たまにめしつかいどもにじゃすぱーをけしかけたりして、きぞくのあそびをたのしみます。

かわむこうにみずぎをきたじょしがすうめい、かわあそびにきょうじています。
・・・しかも「びきに」です。
たけりさかっためしつかいがはしりよりそうになりましたが、じゃすぱーのかつやくでそしされました。
めしつかいをひとりうしないましたが、いたしかたありません。
かわのへいわをみだすやつには、それなりのせいさいがまっているのです。

びきにじょしのひとりがはなしかけてきました。
「うきわをかしてください」
これはね、うきわじゃないんだよ、いうことをきかないこにおしおきするどうぐなのさ。
びきにじょしはむごんになると、おびえためつきでさってゆきます。

かわむこうのもりでは「ひぐらし」がないています。
かずおおくいる「せみ」のなかでは、ゆいいつ「りょう」をかんじるひぐらしです。

ひもくれてきたので、やどにもどりました。
2じかいがはじまります。
せつでんのため、しょうめいさえくらくしてさかもりがはじまります。
かみざには、じゃすぱーがいます。
かみかみざには、ぼくがすわります。
めしつかいどもはゆかにじかずわりです。
きょうはぶれいこうだよ、とおしえてもがたがたふるえるだけでかおをあげようともしません。

ひがかわってそうちょうに、なでがただかみなしごだかしりませんが、じょしさっかーのだいじなしあいがあるようです。
めしつかいどものあいだでなんどかわだいにあがったようですが、ぼくにきょうみがないのをさとったらしく、わざとらしくはなすのをやめたようなので、じゃすぱーのはんだんでしょぶんをまかせました。
そのけっか、またもやめしつかいをひとりうしなってしまいました。
じゃすぱー、それはやりすぎじゃないのかな。
てへ、とてれわらいをするじゃすぱーがかわいかったので、しゃしんにとっておきました。
そのときのしゃしんがこれです。

(がぞうじゅんびちゅう)
したたるちをぬぐうじゃすぱー

あすははやいぞとめしつかいどもをおどしつけ、じゃすぱーにみまもられながらねむることにします。
おやすみなさい。

(つづく)

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July 16, 2011

『日暮』

着流し下駄履きで近所を徘徊し魚の干物を買い求める行為に歪んだ悦楽を覚え、電車に乗り込んで足を伸ばしてみる。
がたんごとんと揺られて降りるは、世田谷区
仄暗い路地を進んで格子戸を引き開け、中に入るとカウンタアだけの席はほぼ埋まっており、空いた隙間に身体を捩じ込んで着座
目の前にある品書きに目も呉れず大将にそう云ってまずは冷酒を一合。
以下は覚え書きである。

突き出し◇長芋と雌株の酢の物、玉子焼き、鮪の漬け(芥子)
冷酒◇七田(佐賀・小城)
冷酒◇日高見(宮城・石巻)
四点◇鰹だしジュレとトマトの冷製、篠唐辛子の焼き、鱸の造り、玉蜀黍の白和え
冷酒◇豊盃(青森・弘前)
冷酒◇喜久酔(静岡・藤枝)
糠漬◇胡瓜、蕪、人参、ズッキーニ

程好くやっつけられて、からころ帰るのだ。

(了)

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July 15, 2011

◆『千日』

本日ァ寄席は夜の部の後に催されます特別興行でござんす。

『第十二回復興支援寄席~若手三人男~』
@新宿三丁目・新宿末廣亭

表にゃァ紙切りの林家正楽師匠、三遊亭円丈師匠らが、震災向けの義捐金を募る箱を持ってうろうろなさっております。
入場を待って並んでおりますてぇと、皮肉にも開場直前に大きな地震がありまして、後で伺いましたら東京二十三区では震度四もあったそうで。
末廣亭の軒先に下がる提灯がゆらゆらどころか、ぐらんぐらんと揺れておりました。

柳家三之助◆南瓜屋

「先日、自宅のエアコンが壊れまして」
「・・・皆さんの反応を見ますと、ざまァ見ろではなく、同情されているの感じが伝わりますねぇ」
「矢張り寄席は客席と高座の一体感ですよ」
「当然、業者の方を呼びましてエアコンを直していただいたんですが」
「修理が終わりまして、お茶なんぞ出しながら業者の方からお話を伺いますと」
「この方達はエアコンが壊れた時と新規設置に室内と屋外でお仕事なさってるんですね」
「夏の暑い最中、涼風に当たる機会が無いんです」
「勿論、冬も同様で暖房に肖(あやか)れる事も無いんです」

隅田川馬石◆粗忽の使者

「今回の寄席でお呼びが掛かりまして、お引き受けしたんですが」
「最初伺った時は『甲子園寄席』かと思いました」
「確かに自分は野球経験者だし、そういう意味合いで呼ばれたのかと思いましたが」
「よくよく伺いますと、『ふっこうしえんよせ』でしたね」

古今亭菊之丞◆船徳

「あたくし今日、所沢に(午後)八時まで居りまして」
「この会に間に合わないといけないので一度は断ったんですが、調べて見ると何とか間に合うと分かりましてお引き受けしたんですが」
「・・・それで、九時過ぎに地震でございましょう、ねぇ」
「電車が少し遅れましたが、何とかこの高座には間に合いました」
「・・・間に合ったんですが、楽屋入口で円丈師匠に『遅ぇじゃねぇかッ』って怒られまして」
「・・・矢ッ張り引き受けなきゃよかったかなァと思いました」

本編:
「何をぅ、歌いたい? お前は柳亭市馬か」

追い出しが鳴りまして、お開きで御座ィます。
開演前にほど好く御酒を戴いておりました所為か、もう睡魔に襲われまくりでして、三師匠方の高座がどうにも夢心地で大変難儀致しました。
酩酊な儘ァ引き上げまさァね。

(了)


<覚ヱ書キ>
壱:ヤムウンセン、カオマンガイ、パットホイライ、チャーン
#2; Inishowen, Ardbeg

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July 14, 2011

『残月』

久方振りに新宿区内にて飲んだくれている。

「最近タフガイって居ないね」
まァ流行らないですからね。

「やっぱ暑苦しいのかな」
一緒に居ると事件に巻き込まれそうで厭ですよ。

「でも頼りになるし、すげぇ格好いいじゃん」
リスクの伴う交友関係とか男女関係は遠慮したいです。

「それでも俺はタフガイになりたいなー」

そう願う男は細Machoにさえ程遠い、すぐおなかが痛くなる末っ子長男な虚弱体質なのだが。

(了)

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July 13, 2011

『忘月』 (第52回)

<頸部ヨリ上>
現時点で所有する最も高価な品は、古代より伝わる秘宝と呼ばれる品でもなく、世にも希少な貴金属をふんだんに鏤(ちりばめ)めて誂(あつら)えた装飾品でもなく、蛮族が持つ象徴的な位置付けの「杖」である。
本日、四本目の杖を入手。
改めて言い訳する必要もないのだが、当然略奪品である。
業者に引き取って貰おうと交渉するが、名立たる豪商の所持金すらも遥かに超える価格設定となり、商談は常に不成立となる。
このまま宝を持ち腐れるのも悪くないのだが、この杖、石突きではない先端部に、かつての所有者である部族とは異なる部族の族長のリアル頭部が設(しつら)えてあり、部屋のインテリアには全くもって向かない事この上ないのが悩みと云えば悩みである。

(續く)

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July 12, 2011

『過日』

苦言を呈すという程でも無いのだが、とは云え一家言を持つ時点で物言いに聞こえてしまうのは否めないとしても、頂よりやや中腹に露出された総面積が施工も入りつつ全開だとか、黒やかなる長やかなる細やかなる代物がぐるぐるに纏まって更なる頂にて球状を体を相しているとか、野良仕事かそれはと田舎の祖母と同じ柄と造詣だと断じて止まないのは、歪んだ愛情表現の一つであると思っていただきたい今日この頃である。

(了)

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July 11, 2011

『偏月』

社食に味は求めないとはいえ、思うところは諸処にあるのだ。

「今日の硬かったね」
「そう? 硬さよりもの方があれだったから、振って何とか食べたけど」

「味はどうでもいいんだけど、硬さは何とかして欲しいね」
「そんなに云うほど硬かったかな」

「あの肉何だっけ?」
じゃね?」

「メニューにスウィート何とかって書いてあったよ」
「スウィートって事は甘いのか」

何が甘いんだろう」
焼きが甘いんじゃない?

「あー、だから硬いのか

何だ、その落とし話は。

(了)

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July 10, 2011

『忘月』 (第51回)

<次元ノ人々>
共通言語がひとつも存在しない人々と会う。
ただ、唯一通じる言語が「暴力」である。
腕力と持久力だけが生存を分かつ殺伐とした世界観を思い出し、同士討ちを誘ってみるとあっさり全滅
話が早いとは正にこの事だ。

(續く)

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July 09, 2011

◆『天日』

本日ァ久方振りになります寄席でござんす。
炎天下の中、銀座線は田原町で降りまして、向かうは浅草六区で御座ィます。

『浅草演芸ホール平成二十三年七月上席昼の部』
@浅草一丁目・浅草演芸ホール

三遊亭多ぼう◆(演目不明)

あたしが木戸銭を渡して入った時にゃァ多ぼうねえさんは既に高座を下りておりまして、後に上がったさん吉師匠が仰ってた内容が「芸名が多ぼうで本名が日麻(ひま)」「お父っつぁんが著名な書道家」でした。

三遊亭しあわせ◆子褒め

歌之介師匠門下の前座だそうで。
あたしはこの前座のあにさんからの入場にて昼の部が始まります。

柳家さん吉◆

根多ではなく、四方山噺でしたんで箇条書きで。
「かっぱ橋、軍鶏家」
「五月二十二日、スカイツリー完成」
「みのもんたは毎年鎌倉から鳩サブレを送って来る」

金原亭馬治◆真田小僧

持ち時間の短い寄席ですから、本来のサゲである「うちの真田も薩摩へ落ちた」までは演りませんで。

ホンキートンク◆漫才

尾崎豊"I LOVE YOU"がサビに至りまして、欧陽菲菲"LOVE IS OVER"になります。
「私はあんたをー忘れはしーないー」
チェッカーズ『ギザギザハートの子守唄』が北斗の拳、水戸黄門のオープニングテーマのメロディになります。

三遊亭萬窓◆箍屋

サゲ:
「あがったあがったあがった、たーがやー」

古今亭志ん馬◆

「粗忽は遺伝します」
「祖父はシャンプーとサンポールを間違えて頭に振り掛けてしまい、『熱い!』と叫ぶ」
「姐は玉子の白身を髪のキューティクルに効くと試すが、洗い流す際に熱湯を注いでしまい、頭が玉子とじに」
家族がそそっかしいというマクラのみで高座を下ります。

マギー隆司◆マジック

マギー司郎の一番弟子だそうで。

三遊亭歌る多◆松山鏡

「今、落語協会には十三人の女噺家が所属しております」
「二、三人を除くほとんどが大学を出ておりまして、その中のほとんどはそのまま社会人になったりしてますね」
「そこでなーんかあったんでしょうか、その会社を辞めまして噺家になるという」
「・・・親御さんが血の滲む様な思いをして大学まで遣ってですよ」

「まァ贔屓にしてやってください、若い子らはお菓子一袋で喜びますから」
「その点、あたしは他の1ダースとは一緒になりませんが」
「菓子袋にコーラを一本でも付けていただければ・・・」

「四十を越えてから着物だけの生活になりましたが、前までは洋服を着ていました」
「お店で試着しまして、何でこんなにあたしはこの洋服が似合うんだろうと思い、気に入って買って帰りますとね」
「家でまた着てみますと、この買った洋服が全然似合わないんですね」
「後で伺いましたら、全ての店がそうとは限りませんが、ああいうお店では鏡に写る自分の姿が三分の二痩せて見えるそうで」
「これを企業努力と呼ぶ詐欺と呼ぶか、ですねぇ」

川柳川柳◆ガーコン

川柳師匠、今年で八十歳だそうで。
その発声、傘寿とは思えねぇですな。

大空遊平・かほり◆漫才

「小学校の謝恩会に夫婦漫才を呼ぶというのもどうかと思いますが」

「あんたなんか居ても居なくて同じなんだから、お客さんは『遊平』が名字で『かほり』が名前と思ってるわよ」

桃月庵白酒◆壷算

交通事故の小咄がありまして、内容をざっくり述べますてぇと、一家三人と猿一匹が乗った車が事故を起こしまして、警官がおっとり刀で駆け付けますてぇと事情徴収すべき家族らは救急車で病院で搬送された後で御座ィます。
「猿だけ居てもしょうがないな」という呟きを聞いたエテ公は人語こそ話せないが解する旨を手振りで警官に伝えます。
猿の身振り手振りにて「父親は車内で飲酒」「母は喋りに夢中で前を向いていない」「子供はいずれかの親にじゃれ付いていた」と分かりまして、当の猿に「お前は何をしていた」と訪ねますと、猿ははんどるを握る動作をします。

三遊亭圓窓◆町内の若い衆

「自宅で稽古してますとうちのカミさんが『ごはんだよ』と云うので返事しますと」
「『あんたじゃない、猫に云ったんだ』と云うんです」
「酷い話じゃァありませんか」
「カミさんが飯くれないんで、腹ァ空かせたあたしが台所で缶詰を見つけて開けようとしますと」
「それを見つけたカミさんが『それは猫の缶詰なんだから、駄目よ』って云うんです」
「何だい、うちじゃァ猫の肉を喰わしてたのか、と思いましたよ、そう思いません?」
「思わない? だって、缶詰のラベルに猫の絵が描いてあるんですよ、あれは内容物を表してるんじゃないですか」
「そしたらあれですよ、カミさんが云うには、猫が好きな魚やら何やら入った缶詰を『猫の缶詰』ってんですね」
「あたしゃァそうじゃないと思うんですがねぇ」
「・・・じゃァあれですか、お客さん、『蟹の缶詰』てぇのは中に蟹の好きな小魚とか入ってたりしますか? 違うでしょ? 蟹の肉、蟹そのものが入ってるでしょ」
「ほーら、見なさい」

三増紋之助◆曲独楽

「北野武さん監督作品の『座頭市』に独楽回し芸人役で出ています」
「『ええぃ、芸人はもうよい、芸者を呼べぃ』と云う一言で画面から消えますが」

鈴々舎馬風◆

五代目古今亭志ん生、五代目柳家小さん、先代林家三平との思い出話でした。
この方、会長職を退いたんですから、も一度『会長への道』演らねぇんですかねぇ。

お仲入りで御座ィます。

金原亭馬吉◆笊屋

二ツ目の馬吉あにさんが仲入り後に上がるとはめづらしいですな。

ロケット団◆漫才

山形弁での無理繰りな横文字変換でした。
「石油入れて」
「歩げにぃ」

古今亭菊春(きくはる)◆権助魚

笑いは身体によろしいてんで、脳内物質を一種しか云い立てできずに「ドーパミン」を連呼しておりました。

林家正雀◆紙屑屋

本編:
「白紙は白紙、烏は烏、陳皮は陳皮」

翁家和楽社中◆太神楽

中座しまして休憩させていただきます。

金原亭馬生◆安兵衛狐

本編:
「恋しくば 訪ね来てみよ 谷中なる 三叉木村の うらみ葛の葉」
歌詠みにて正体が表れる狐のおこん、玉蜀黍が大変お好きだそうで。こーん

馬生・正雀・菊春・馬治・馬吉◆茶番 『曾我物語~大磯廓通い』

菊春◇曾我十郎祐成(すけなり)・・・ 何故か格好は「助六 実ハ曾我五郎」
馬生◇金貸し金兵衛
馬吉◇手下 ・・・「市川猿之助(えんのすけ)に弟子入りしまして市川猿之下」
馬治◇手下 ・・・「中村芝翫(しかん)に弟子入りしまして中村痴漢」
正雀◇義太夫 ・・・「竹本越路大夫に弟子入りしまして竹本腰巻太夫」

活惚の総踊りでお開きとなりました。
本日ァ観音様の四万六千日と鬼灯(ほおずき)市てんで、金龍山浅草寺に立ち寄りまして参詣致します。
この日いちんちお参りするだけで四万六千日分の徳になるてんですから、便利な世の中になったもんでげす。
日参に換算しますてぇと、百二十六年分てんですから豪儀なもんですなァ。
あたしゃァ都合二回目で御座ィまして、この歳にして既に二百五十年分日参済みでさァね。

あれからァ湯島に移りまして、目当ての鰻屋へと参ります。
暖簾下がる玄関前に立ちますと、後ろに続く客の姿ァ認めまして、まァ順繰りだと思いまして先んじましたら、後続の方が店の方に「鰻はここで終わりました」と門前払いでした。
帰された方にゃァ申し訳ねぇですが、お二階は水槽付きのコの字型かうんたあに通されまして、五代目柳家小さん師匠が厨房に預けてたなんてぇ丼鉢ィ眺めながら、摩り下ろした山葵と下地で白焼きを突きながら杯一飲りやしょうかねぇ。

(了)

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July 08, 2011

『忘月』 (第50回)

<見初メ>
蟹男に遭う。
奴を斃した果ての戦利品が「蜜蝋」って、石を引っ繰り返した後の湿った土くれに混ざる何かを見たきぶんだ。

(續く)

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July 07, 2011

『なぬか』

きょうはねんに1どの「たなばた」です。
ほんとはきゅうれきにおこなうのが、じきてきにもただしいのですが、しんれきではひづけのつごうじょう、きょうになっています。
まちにはびこるむだにゆかたをきこんだ「おりひめひこぼし」きどりのつがいどもをかえるにしちゃうぞ。
けろけろけろたーん
かえるにしちゃったあとはほうきとちりとりでさっさとかきあつめ、そのままかわにすてます。
かわといってもそらのかわです。
みるきーうぇいでできしーなんてろまんてぃっくじゃありませんか。
あまのがわしんぢゅうですよ。
「さんばしはながいよ、いのちはみじかいよ」
うひゃひゃ。

(おわり)

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July 06, 2011

『白日』

坂口安吾作品を読んでいる。
彼の故郷新潟に在る護国神社には「ふるさとは語ることなし」という彼の詩碑が立ってゐるそうだが、石川出身である室生犀星「ふるさとは遠くにあって思うもの」に負けずとも劣らない文句であると云えよう。
多聞に意味を含むとは思うのだが、如何にも負の要素ばかりが耳に残り目に付いてしまい、各各の同郷人に微妙な心持ちにさせる惹句であるに想像は難くない。

安吾の作品の一つに『竹藪の家』なる表題が付けられた中編がある。
樅原駄夫(Daf Momihara)なる凡そ常人に付ける名とは思えない無職の居候と、彼に居座られる一家、友人夫婦と其の子息、母親、兄夫婦が登場する他は、系図屋の夫婦が一瞬だけ物語に絡む程度で、後は友人の伯父に当たる映画館経営者が話に上がるのみである。
何かが起きそうで何も起こらず、辛うじて事件性を帯びているのは兄夫婦の嫁が失踪する一件に限定されるばかり。

登場人物の其其が難解にも複雑な多面性を抱えており、時には優しく時には烈しくリアルに感情を起伏させてはやがて社会生活者としての当然の帰結として沈静化するのだが、居候駄夫だけは一家の構成員らの愚痴を個別に聴いてみたりはするものの、所詮は厄介者であり、あまつさえ働き口を探す素振りさえ見せず、小銭を得る為の絵描き仕事ですら好い加減で済まし、終始一貫したへらへらっぷりである。

成る程、寄宿という様式に依存する中で自我を維持する流儀とは、流れに逆らわず大河を漂うが如しである。
然りとて、大いなる流れに身を任せた挙句の果てに飽くると知った上で、無為に過ごしている振り、或いは実際に無為であるとしても、其れが不偏性を帯びるのであれば此れ以上の主義主張は無いのである。(何か云ってる様で何も云ってない)

(了)

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July 05, 2011

『忘月』 (第49回)

<通ヒ路ノ迷ヒ子>
四ツ足の名を冠する河川の上流に来ている。
水源はの山中にあるのだろうが、地図上に表記はない。
沸き出でる支流が集まって河となり西に向かって流れ、内陸にある巨大な湖に注がれているのだ。
川沿いを徘徊する果てに辿り着くは、岩場に囲まれた唯一つの出入口を持つ地下構造の廃墟
木製の扉の前には古びた日記雨曝しとなっており、非礼を省みずに中を改めると著者が未だ見ぬ異邦人に宛てた内容である。
知らない人の書いた長文を読み込む程の気概もないので、流し読んでから元の場所へそっと返し置くと斜面なる岩場の為か、何処までも転がってゆくが、無論追う事も拾う事もない
内部へ侵入し、群がる魂無き住人らを強制的に排除しながら奥へと進みつつ、設置してある書見台を物色すると、前述の日記の主の覚え書きや手紙、果てには名指しでの脅迫文が発見され、うかうかと斜め読みしてみる。
成る程、この薄暗く死臭漂う廃墟で何が起きているのか、点と点が繋がろうとしていた。
ざっくり読み解くと登場人物は二名
便宜上、日記の著者をEとし、Eの同僚をVと呼称する。
EとVは共に組織の同期でありながら、Eの規律に反する度を逸した行為を許容できないVは思い悩む。
或る日を境に一線を超えたEは組織を追放され、VはEの後を追う様に離脱する。
やがてEは居を構えた廃墟にて禁断の研究に手を染め、見るも無残な変わり果てた姿となってしまう。
見かねたEはせめてもの情けと思い、Eを人の姿として浄化しようと画策するのだが・・・。
結果を見定めんと最深部を目指す。
奥にある玉座の間に、猫背の老人が徘徊している姿が見える。
こんにちはーと近寄ってみるも、老人性のあれか他の理由からか、当方を空気の様に黙殺を決め込んでいる様子。
老人のぶら下げた名札を確認すると、EとVの連名である。
・・・合体?
力負けして融合されたかしらね。
まァいろいろあったけど、彼らは今でも仲良しなんだと勝手に決め付け、しょぼしょぼと歩くだけの老人に背を向けて廃墟を後にするのだった。

(續く)

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July 04, 2011

『落日』

先月受けた健康診断の結果が書留扱いで手元に届く。
人に云えない食生活を送っている身の上としては、その印鑑付きでの受け取りさえもぺしみちな心持ちである。
せめてもの強がりで、他人事を装った風で封を切ってみる。
裏返しでも分かる程に毒毒しい色調で印字され折り畳まれた一枚の用紙を開く。
・・・何て事だ、妄想でも想像すらしなかったオールAの健康体である。

年年食が細くなっており、いつからか一日四食を三食に減らしたものの油分が幾分過多な食ばりんぼりんと貪る系の間食を欠かした覚えもついぞなく、三月よりの引き篭もりがちが故に酒量こそ減ってはいるのだが、飲まない日なんぞ一日たりともないというのに。

減るばかりの体重に比例して身長も順調に縮んでいる様子。
・・・この先先に精も根も尽き果てた際、人の形をしてる自信さえも奪われながらも、油分間食健康法は当分止まらないと思うのだった。

(了)

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July 03, 2011

『玄月』

うろ覚えながら夜半以降に喰い散らかした結果を記す。
酒精に浸った後のペダル漕ぎ緩い上り坂さえ避けたい。

<覚ヱ書キ>
クリサンカク
タン
ハラミ
シマチョウ
ミスジ
ザブトン

どれがどの部位かは訊かないで欲しい。

(了)

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July 02, 2011

『忘月』 (第48回)※

<業深キ匠ノ技>
およそ三種目にて「達人」と呼ばれる立ち位置となる。
とは云え、一門を構えて弟子を下に置いたりしないのだが。
ただただ、ひとりで生きる為の術(すべ)に過ぎない。
野に生える草をぐじぐじと擂り潰して毒薬を作ったり、死人の骨をどうにかさせてうろうろさせたり、暗闇からこそこそ忍び寄って寝首を掻いたり、とまァ人殺しの技術ばかりが際立って長けてゆくのは止められないのだ。

(續く)


(改題) 『偽善と呼ばれる為に求められるfの条件』 (第34回~第47回) #034-047
(改題) 『幻想ト猊下』 (第弐拾弐回~第参拾参回) #022-033
(改題) 『終ノ棲家』 (第玖回~第弐拾壱回) #009-021
(改題) 『継ぎ目無きヘリウムの都』 (第壱回~第捌回) #001-008

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July 01, 2011

『終日』

蕪村的にひねもすのたりとしているのを願って止まない。
まァ当句は春の海と限定しているのだが、それでも四季を通じてのたりのたりのたりひねもすのたりでひとつひねもすよろしく願いたいのだ。

(了)

投稿者 yoshimori : 11:59 PM | コメント (0)